2016.06.12 Sun 更新

赤ちゃんの新生児壊死性腸炎(NEC)は命に関わる!?その原因や症状を詳しく説明

新生児壊死性腸炎(NEC)は低出生体重児の死亡原因として最も多い病気です。死亡率は30~40%と言われており、初期段階で発見し速やかに治療を行えば、ほとんど手術を必要とせず回復しますが、重症化していた場合は手術が行われます。今回は新生児壊死性腸炎(NEC)についてご紹介していきます。

新生児壊死性腸炎(NEC)の症状・診断

詳しい原因はまだ分かっていませんが、新生児壊死性腸炎(NEC)の90%は低出生体重児に発症しており、赤ちゃんの腸の未熟性、血液の流れの阻害、細菌感染などが関与していると考えられています。

腸の免疫や運動が未熟だと、腸の中の細菌が増えてしまいます。また、腸の血液の流れが悪いと腸の壁が損傷してしまうので、細菌が腸の壁の中に侵入しやすくなり、壊死を起こします。
妊娠中や分娩時に赤ちゃんの血液の流れが悪くなったり(仮死、呼吸障害、循環異常、先天性の心臓病など)、子宮内や分娩時の感染が加わってしまうと発症の確率がさらに上がってしまいます。特に出生後最初の1週間は細菌に対する免疫がないため、傷つきやすい傾向にあります。

新生児壊死性腸炎(NEC)の原因

新生児壊死性腸炎(NEC)は、未熟な腸管に発症する後天性の消化管疾患です。腸内部の表面が損傷を受け、そこに細菌などの感染が加わることにより腸が壊死する、新生児の病気の中でも重い病気のひとつです。
この病気にかかった新生児の半数以上は回復しますが、死亡率は30~40%と言われており、低出生体重児での死亡率は、壊死性腸炎が最も高いとされています。

新生児壊死性腸炎(NEC)とは

・III 期(重症)
II 期よりもさらに症状が進行します。呼吸障害や血便や胃からの出血がみられ、腸の壊死がさらに進行すると腸の壁に穴が開き、腹膜炎となります。腸の壁に穴が開くと、腸からお腹の中にもれたガスがレントゲンにはっきり写ります。

・II 期(診断)
I 期の症状に加えて明らかな血便がみられ,お腹の張りが強くなります。レントゲンでは腸の中のガスの量が急激に増え、腸の壁の中や門脈(腸と肝臓をつなぐ血管)に入り込んだ小さなガスが見られるようになります。この状態になると、壊死性腸炎の診断が下されます。

・I 期(疑い)
お腹が張る、ミルクの飲みが悪い、ミルクを吐く、元気がなくぐったりとしているなどの症状があります。便に少量の血液が混じるもこともあります。レントゲンでは腸の中に少しガスが溜まって見えるくらいで異常は見られません。壊死性腸炎が疑わしいというだけで、まだ診断はできません。

症状や進行によって3つの時期に分けることができます。

症状のほとんどは生まれてから30日以内に現れますが、稀に生後30日目以降にみられることもあります。
上記したように、低出生体重児に発症しやすく、妊娠週数が32週以下の体重が1,500g未満の赤ちゃん、特に1,000g未満の赤ちゃんにおこる危険性が極めて高く、新生児壊死性腸炎(NEC)患者の全体の80%は体重が1,500g未満の赤ちゃんだと言われています。新生児壊死性腸炎(NEC)が年々増加傾向にあると言われていますが、これは新生児医療の進歩により体重の小さな赤ちゃんの命が助かるようになってきたためだと考えられています。

・I 期
内科的な治療が中心になります。授乳を中止して腸の安静をはかり、点滴で抗生物質を与えます。

治療は上記した3つの時期によって異なります。

新生児壊死性腸炎(NEC)の治療

・II 期
I 期と同じく内科的な治療が中心になります。吸引チューブを赤ちゃんの胃に入れ、空気とミルクを飲みこむことで生じた圧力を取り去り、腸にかかる圧力を軽減します。輸液や抗生剤の投与も開始され、積極的な呼吸・循環管理を行います。

・III 期
壊死性腸炎を起こした赤ちゃんの半数以上は手術を必要としませんが、重症化し、壊死の範囲が広い場合や腹膜炎を伴う穿孔がある場合には手術が必要です。
手術では血液の供給が止まった腸の一部や壊死にしてしまった腸を切り取ります。元気な腸同士をつなぎ、便を排出するための一時的な開口部を作るオストミーや、腸をつながないでいったんお腹の外に腸を出しておく腸ろう手術など、病気の進行によって様々な方法があります。腸ろう手術の場合は赤ちゃんが元気になった時点で腸をつないでお腹の中にもどす手術が行われます。

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