前置胎盤の診断
前置胎盤は多くの場合、ママが自覚できる症状がありませんが、腹痛を伴わない出血がみられる場合もあります。
痛みがないからといって軽く考えず、普段とは違う出血があったらすぐに産婦人科を受診しましょう。
前置胎盤の症状
前置胎盤とは、胎盤が正常な位置よりも低い位置にあり、子宮口にかかったり覆っていたりする状態をいいます。
子宮は子宮口を下側にして、ふくらんだ風船のような形をしていて、通常、胎盤は子宮の頂点に近い部分に張り付いています。
しかし、前置胎盤では何らかの理由で下側の子宮口付近に胎盤がある状態になります。
発症率は全分娩の0.3~0.6%程度、このうち5~10%では、胎盤と子宮が癒着して胎盤がはがれない「前置癒着胎盤」になる可能性もあります。
前置胎盤とは
子宮口のほぼ全てが覆われている状態
1.全前置胎盤
前置胎盤と診断が確定すると、胎盤の子宮口の位置によって4種類に分類されます。
前置胎盤の種類
前置胎盤の診断は超音波検査(エコー)によって行われます。
妊娠中期頃に前置胎盤の可能性を診断されても、週数が進むにつれて胎盤が上の方に上がり、自然と解消することも多くあります。
そのため、妊娠中期は「前置胎盤疑い」として、最終診断は妊娠30~32週ごろに行われます。
前置胎盤が疑われたとしても、その多くは出産までに自然に治るのであまり神経質になりすぎないでくださいね。
子宮口の一部に胎盤がかかっている状態
3. 部分前置胎盤
子宮口の大半が覆われている状態
2. 部分前置胎盤
4. 低置胎盤
前置胎盤が起こる原因は、はっきりとはわかっていません。
何らかの理由で子宮内膜が傷つくと、前置胎盤が起こりやすくなるのではないかという説があります。
何らかの理由とは、流産や人工妊娠中絶の経験、帝王切開の経験、経産婦、子宮手術の経験、喫煙、多胎妊娠、高齢出産などが挙げられます。
前置胎盤の原因
子宮口を覆っていないが正常よりも位置が低い状態
前置胎盤の治療法
残念ながら前置胎盤の根本的治療法はありません。
安静にしながら自然に解消されるのを待つことになります。
場合によっては入院による管理が必要になることもあります。
貧血がある場合はお産に備え、鉄剤の内服や点滴が行われる場合もあります。
また、33~34週から自分の血液をストックしておく「自己血貯血」を2~3回行い、手術中の輸血の準備をしておく場合もあります。
出血が多くとまらない場合など、母子の命が危ないと判断んされた場合にはやむなく子宮の摘出を行うこともあります。
前置胎盤と診断された場合には、できればNICUのある総合病院や大学病院で診てもらうのが望ましいとされています。
かかりつけの産婦人科の先生に相談して決めましょう。
前置胎盤により子宮口が胎盤で塞がれてしまうと自然分娩が困難になり母子ともに危険な状態になります。
したがって、前置胎盤が診断された場合、多くは予定帝王切開が選択されます。
予定より前であっても、出血が起こるなどして緊急帝王切開になることもあります。