2016.05.16 Mon 更新

循環不全は赤ちゃん・新生児もなります。その原因は低体温や心不全など様々。

新生児循環不全とは、その名の通り、赤ちゃんの体の血液循環が不良になってしまった状態です。大事な臓器への血液の供給が滞ってしまうため、最悪の場合、死に至ることもあります。生まれてきたばかりの新生児の血液循環は劇的に変わりやすいので、病気について理解し、普段から様子を見ておくことが大切です。

循環不全の原因

新生児循環不全とは、新生児が出産後に血液循環が不良になってしまう状態です。
新生児期は胎児循環から出生後の循環へと劇的に循環状態が変化するので、体がのつくりが未熟なこともあり、容易に循環不全に陥ってしまいます。
赤ちゃんが生まれると、直後にへその緒を切断します。これにより血流が絶たれると、動脈管を通って下行動脈へと流れていた血液は肺へ流れ、肺血流量が増加します。増加した肺血流は心房の右心房の血圧を低下させ、左心房の血圧を上昇させるために弁状になっていた卵円孔は閉鎖します。動脈管、静脈管の血液も停止し、血管は閉鎖していきます。

新生児の循環不全

循環不全とは、組織への血液循環が不良になってしまう状態です。組織の毛細血管の酸素交換が低下し、重要な臓器への血液循環が悪くなってしまいます。健康を維持するための十分な血液を送り出すことが出来ないため、最悪の場合、死にいたります。

循環不全とは

心臓のポンプとしての働きが低下して、全身の臓器に必要な血液量を送ることができなくなった状態を心不全と言います。心不全の症状はひとつではなく、ポンプ機能低下に伴い、組織や臓器に十分な血液が流れなくなるために循環不全にも容易に繋がっていきます。

心不全からの循環不全

温かい子宮(38℃)の中から寒い分娩室(25℃)に生れて来たばかりの赤ちゃんは、出生直後の低体温症を防ぐために産熱亢進と放熱抑制を行います。しかし、産熱亢進と放熱抑制を持続していると、赤ちゃんの体は嘔吐、低血糖症、肺高血圧症などの異常を来してしまいます。さらに、赤ちゃんが何らかの理由で重度の低血糖症に陥ると自律神経の機能不全に陥り、循環不全、体温調節・呼吸循環の調節も出来なくなり、やがて心肺停止となります。

低体温症から起こる循環不全

呼吸障害、低体温、感染症、頭蓋内出血、心不全、仮死などにより循環不全を発症します。

循環不全が心不全からくるのか、循環血液量不足からくるのかを判断します。胸部単純X線、心エコー(超音波)、頭部エコー、心電図、血液検査などが必要です。

循環不全の検査、診断

新生児の循環不全の最大の特徴は、初期にははっきりとした症状が見られない、ということです。症状は、おっぱいを吸う力が弱くなる、元気がないといった様子から始まり、進行すると皮膚は蒼白となり手先足先が冷たくなる末梢冷感や浮腫(むくみ)、肝臓が肥大する肝腫大(かんしゅだい)といった症状を認めます。脈が速くなる(頻脈)、不整脈、心音に雑音が混じる(心雑音)、多呼吸、努力性呼吸(不足した呼吸量を補うために、普段使わない筋肉を使って行われる呼吸)などとともに、血圧が低下します。循環不全はさらに全身状態を悪化させ、ショックを起こす場合もあります。

循環不全の症状

循環不全の治療

新生児循環不全に気づいたらどうする

新生児循環不全を引き起こしている原因を探り、適した治療を行います。
心不全なのか、循環血液量不足からきたのかで治療法は異なりますが、新生児では両者を合併している可能性もあります。心不全に対しては水分制限を行い、利尿薬、強心薬の投与が行われます。一方、循環血液量不足からきている場合は生理食塩水を投与して反応を見、貧血がある場合には輸血、低蛋白血症がある場合にはアルブミン製剤の投与、新鮮凍結血漿の投与を行います。
組織の酸素消費量を減らすことが目的で、体温は37℃前後に保ち、授乳を禁じます。

元気がない、食欲がないなどの様子が見られたら、小児科に相談してください。
循環不全は怖い病気ですが、早めの対処で最悪の事態を回避することができます。

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