見ただけで診断できなかった場合、下記の症状で鎖肛がわかる場合があります。
赤ちゃんの鎖肛の症状
鎖肛は超音波による出生前診断では診断が困難です。
そのため、医師や助産師さんは出生直後に赤ちゃんのおしりを必ず調べて、肛門が開いていなければすぐに外科的な処置を依頼します。
肛門が閉じている他に、他の臓器につながってしまう瘻孔(ろうこう)という状態や、肛門の位置がずれてしまっているなど様々な場合があります。
肛門は便を外に出す大切な働きがあります。
鎖肛とは、生まれつき肛門の穴が閉じてしまっている病気です。
「直腸肛門奇形」とも呼ばれ、5000人に1人程度の確率で出現します。
先天性異常として低い割合ではなく、消化管の先天性異常の中では最も多い病気とされています。
赤ちゃんの鎖肛とは?
赤ちゃんの鎖肛による合併奇形
なぜ鎖肛になるのか、はっきりとはわかっていません。
妊娠2ヶ月頃まで、胎児の直腸や肛門はそれぞれ分離した状態で成長していきますが、その後成長した直腸や肛門、膀胱などの泌尿器系が繋がる際に、途中で異常が起きてしまうことで鎖肛になると考えられています
赤ちゃんの鎖肛の原因
まれに腸の穿孔を起こして腹膜炎になることがあります。
また、幼児や学童期になってから、便秘や便が細いことで肛門の位置の異常に気づくケースもあります。
・体温を測る際に、直腸に体温計が入らない
・授乳中にお腹が極端に張ったり吐いたりする
・尿に胎便やガズが溜まる
・膣から胎便が出る
・子宮や膣に尿が溜まって腫れる
赤ちゃんの鎖肛の治療法
ダウン症の赤ちゃんは内臓の合併症を引き起こしている可能性が高くなります。
最も多いのが心臓疾患ですが、その次に多いのが消化器系疾患です。
ダウン症児のうち3~5%の子が消化器系に何らかの以上を持っており、その中に鎖肛も含まれています。
赤ちゃんの鎖肛とダウン症の関係性
鎖肛は肛門が単独で奇形となってしまう場合と、周りの臓器とつながってしまうことでその臓器も奇形となってしまう場合があります。
他の奇形を合併しているケースは50%程度です。
その場合、肛門の治療だけでなく、つながってしまった臓器の奇形を治す治療も必要になります。
新生児期に、瘻孔(ろうこう)切開術もしくは会陰式(えいんしき)肛門形成術になります。
消化管の終わりと肛門部がごく近いので、腸をおしりまで下ろして肛門に穴を開ける処置が可能です。
術後の排便機能は良好である割合が高いと言われています。
低位型
鎖肛の治療法は基本的に手術になります。
消化管がどこまで下りてきているかによって「低位」 「中位」「高位」 に分かれ、それぞれ治療法が異なります。
新生児期にいったん腸の一部をおなかの外に出して人工肛門を作り、ある程度直腸や肛門の機能を担う筋肉が発達した生後6ヶ月以降に肛門形成術で根治手術を行います。
根治治療が終了した後で、人工肛門を閉鎖すれば、肛門から便が排泄されるようになります。
中間位型・高位型の場合、便失禁や激しい便秘の症状が残ってしまう場合があります。しかし、機能訓練によって改善は十分可能です。
中間位型・高位型
まとめ
鎖肛は医療技術の進歩によって治療法が確立されています。
外科手術によって治る病気です。治療後の経過も10~20年前と比べ良くなりましたが、場合によっては後遺症が残ることもあります。
診断された場合は、お医者さんと相談しながら適切な処置を行い、赤ちゃんの回復を見守っていきましょう。