HELLP症候群のはっきりとした原因はまだわかっていません。
妊娠高血圧症候群の患者に多く発生することから、何らかの関連があるのではないかと言われています。
HELLP症候群の原因
この疾患は適切な管理が行われなければ死亡率が3割ほどあるといわれています。
主な合併症は、播種性血管内凝固症候群(DIC)、常位胎盤早期剥離、腎不全などがあります。
HELLP(ヘルプ)症候群は妊娠高血圧症候群に関連して見られる疾患として知られています。
病名の由来は、溶血(Hemolysis)、肝酵素の上昇(Elevated Liver enzymes)、血小板の減少(Low Platelet)と、現れる症状の頭文字です。
妊娠中期以降や妊娠後の産褥期に発生し、発生率は全妊婦の0.2〜0.6%、妊娠高血圧症候群の患者の場合は4%〜12%です。
HELLP症候群とは
HELLP症候群の原因とも言われる妊娠高血圧症候群は、さまざまな合併症の危険があります。
HELLP症候群が引き起こす合併症
・上腹部痛、心窩部痛、胃の痛み
・疲労感、倦怠感
・嘔吐・吐き気・食欲低下
HELLP症候群の主な症状は、名前の由来で触れたとおり、溶血、肝酵素上昇、血小板減少です。
自覚できる症状としては以下のようなものがあります。
HELLP症候群の症状
肝機能の低下、溶血の所見、血小板の減少が、ある一定の基準を超えると診断されます。
HELLP症候群の診断
・脳卒中
・眼底出血
・子癇(致死的な昏睡状態に至るけいれん)
・DIL(血小板減少による凝固障害)
・急性妊娠脂肪肝
・常位胎盤早期剥離
・肺水腫
肝機能検査;血清AST(GOT)値 70IU/L以上、血清LDH値 600IU/L以上
溶血;血清間接ビリルビン値 1.2mg/dl以上や病的赤血球の出現
血小板減少;血小板数10万/μl以下
HELLP症候群は迅速かつ適切な治療・管理が必要とされ、管理を行うのが遅れてしまった場合、母体死亡率は1.47%、また周産期(妊娠満22週から、生後1週未満までの期間)の死亡率は10.9%と言われています。
HELLP症候群の治療法は妊娠前高血圧症候群と同じで妊娠の終了、つまり可能な限り早くに赤ちゃんをお腹の外にだすことです。
そのため母子の安全にとって必要と判断された場合に帝王切開が行われることがしばしばです。
しかし週数が早ければできるだけ妊娠を継続する必要があり、治療に際して難しいところでもあります。
なお、血小板の減少があるため、帝王切開手術では血小板輸血などが必要になることも多くあります。
HELLP症候群の治療法・妊娠への影響・死亡率
HELLP症候群は産後にも発症する可能性があります。
妊娠高血圧症候群は、通常は出産を終え胎盤が母体から排出されることで、状態が改善します。
しかし、重症例のケースでは出産後もしばらく血圧が高かったり、尿にたんぱくが出続けることがあります。
出産後も高血圧が続く場合は、血圧を下げる薬が処方されたり、けいれんを予防する薬を継続しなければならないこともあります。
産後に発症した場合はどうなるの?
HELLP症候群の予防法
HELLP症候群を含む妊娠高血圧症候群の要因には、肥満、運動不足、ストレス、塩分過多などがあげられています。
生まれてくる赤ちゃんのためにも日頃から正しい生活習慣を意識しておきましょうね。