妊娠中のアルコール摂取が原因になります。
妊娠前に大量のお酒を飲んでいたり、既にアルコール依存症であっても、妊娠中にアルコールを飲まない限り胎児性アルコール症候群の赤ちゃんが産まれてくることはないと言われています。
胎児性アルコール症候群の原因
発症率はアメリカで00.2〜0.2%、日本では0.01%以下といわれています。
アメリカでは、アルコール依存症の妊婦からは3割もの胎児性アルコール症候群の赤ちゃんが産まれてくるとの報告もあり、アルコール摂取量とリスクは比例するとされています。
胎児性アルコール症候群(FAS: Fetal Alcohol Syndrome)とは、妊娠中にアルコールを摂取することによって起こる胎児の先天性疾患のことです。
アルコールが胎児に影響を与え、低体重や低身長、顔面の奇形や発達障害などを引き起こすことがあります。
胎児性アルコール症候群とは
低体重や低身長など、お腹の中での発育が悪くなる傾向があります。
アルコールを摂取していない母親から産まれてくる子どもよりも5〜10%ほど小さく、産まれて来てからの成長も遅くなる傾向があります。
発達の遅れ・発育不全
胎児性アルコール症候群の症状
少量のお酒でも赤ちゃんに障害をおこしうるリスクが高まると言われていますが、母体の体質や体格、飲んだ時期などによっても異なるようです。
妊娠中に飲酒してしまった場合に必ず起こるものではありません。
胎盤には胎児の体に悪影響のあるものは通さないという役割があり、風邪のウイルスなどは運ばれませんが、アルコールはそのまま通してしまいます。
赤ちゃんの肝臓はまだ未発達でアルコールを分解することができず、分解できないアルコールが発育に影響を与えてしまいます。
・全体的に平たい顔つきになる
・鼻が小さく低い
・耳が小さく下の方に付いていて反り返りが目立つ
・唇が薄い
・鼻と上唇の間隔が狭く、縦溝が無い
・小頭症
・顎が小さい、かみ合わせが悪くなり下あごが大きく発達する場合もある
・目が小さく黒目(瞳孔)だけしか開かない
顔つきの特徴
注意欠陥や多動性障害(ADHD)、学習障害などの特徴があります。
精神的な症状は気が付かないまま成長していくことも多くあります。
中枢神経系の異常
胎児性アルコール症候群の治療法
妊娠中に飲んでもいいアルコール量
胎児性アルコール症候群には治療法はありません。
症状によっては対症療法や薬物治療によって症状を和らげることができますが、完治は難しいといわれています。
赤ちゃんにとっては一生付き合っていかなくてはならない障害になります。
しかし、厚生労働省によると、欧米でいわれている胎児性アルコール症候群の危険性がない飲酒量「1日1ドリンク、週に7ドリンク以下」(1ドリンク:純アルコール10g、ビール250ml程度)は、体格の小さい日本人には適応すべきではないとしています。
アルコール症候群が起きる仕組みは詳しく解明されていないため、医学的に安全なアルコール摂取量は分かっていません。
海外では胎児性アルコール症候群の危険性がない飲酒量を定めている場合もあります。
飲酒量に比例してリスクが高まるため、お酒を少し飲んだだけでは胎児性アルコール症候群が生じる可能性は低いと言われていますが、飲酒しなければ予防できる疾患なので赤ちゃんのために妊娠が発覚したら禁酒しましょう。