2016.02.25 Thu 更新

不妊の原因にもなるの?子宮筋腫ってどんな病気?原因や治療法は?

成熟期の女性に多く見られる子宮筋腫ですが、その種類や大きさ、数にはかなり個人差があります。 さらに、赤ちゃんが育つ子宮にできるものですので、妊娠や出産に影響がないのか気になりますよね? そこで、子宮筋腫が妊娠出産に与える影響についてや、その原因、治療法についてまとめてみましたので、参考にしてみてください。

筋層内筋腫

種類

子宮筋腫は、子宮に良性のコブ状のかたまりができる病気で、成人女性の4~5人にひとりがなるといわれるほど身近な病気です。
ごく小さな米粒ぐらいの筋腫まで含めれば、ほとんどの人がもっていると言われています。
子宮筋腫があることに気付かないまま、過ごしている人も少なくないのです。

何故出来るのかは、未だにはっきり解明されていませんが、女性ホルモンの卵胞ホルモンが筋腫を大きくすることに
関係していると考えられています。
ですから、ホルモンの分泌がさかんな30才以上の成熟期に多くみられます。

子宮筋腫とは、子宮のいろいろな場所に「こぶ」ができる病気です。
子宮を構成している筋肉が「こぶとりじいさん」の「こぶ」のように1個2個…多いときで数十個できるものです。

子宮筋腫とは?

粘膜下筋腫

子宮の外側を覆う漿膜(しょうまく)にできる筋腫で、子宮の外側に向かって大きくなります。
無症状の場合がほとんどなので気づきにくく、症状が表れたとしても下腹部のしこりや、下腹部痛、腰痛、頻尿といった軽いものが多いです。ただし、筋腫がねじれると急激な腹痛が起こります。
中には1~2kgまで大きくなる筋腫もありますが、自覚しづらいため、見過ごされてしまいがちです。

漿膜下筋腫

子宮の壁にある筋肉の中で大きくなる筋腫です。
小さいときはほとんど無症状ですが、筋腫が大きくなるに従って子宮を変形させ、過多月経の他、頻尿、便秘、下腹部痛や腰痛を引き起こします。
また、できた場所や大きさによっては不妊や流産の原因にもなります。子宮筋腫のうち約70%と最も多い筋腫です。

不妊や流産の原因にも

1つの子宮の中にいろいろな種類の筋腫が多数できるのを、特に「多発性筋腫」といいます。
3種類の筋腫がまざって、10~20個もできることもあります。
しかしながら筋腫はもともと良性のものなので、命を脅かすことはありません。

多発性筋腫

子宮の内側を覆う子宮内膜に形成される筋腫で、子宮の内部に向かって大きくなります。
そのため、体の外側から触れにくいのが特徴です。
子宮筋腫のうち約10%と発症する確率は低く筋腫も小さいですが、症状は重く、不正出血、月経時の出血量の増加や月経期間が10日以上続く「過多月経」、ひどい月経痛、貧血、動悸や息切れを引き起こすほか、不妊や早産の原因となりやすく、手術が必要になるケースも多くあります。
また、筋腫が大きくなり膣や子宮頸管の中に押し出される筋腫分娩になると、不正出血時の血量が多くなります。

子宮筋腫は良性の腫瘍ですから、それ自体が生命を脅かすものではありません。
重さはだいたい70g位ですが、放置しておきますと10kgを超えるような大きさまでになることもあります。
「異常に経血量が多い」とか、「貧血」に悩まされるようなときは、婦人科で相談しましょう。

明らかな不妊原因の場合は、子宮筋腫の摘出手術を行うこともあります。
ただし、子宮筋腫があっても100%自然妊娠できないわけではなく、大きさや場所によるため、お医者さんと相談して決めることになります。

子宮筋腫ができてしまうと、受精卵が着床するスペースが減ってしまう他、子宮の内壁が硬くなったり、凸凹に変形したりと受精卵が着床しづらい状態が作り出されてしまい、初期流産を引き起こすリスクが高まります。
また、卵管付近の筋腫は、卵管が精子や受精卵を運ぶ機能を低下させ、卵管自体を閉塞させて受精卵の移動を妨げてしまいます。

赤ちゃんと母体に影響は?

子宮筋腫の出産は?自然分娩できるの?

子宮筋腫があっても、症状がなく、大きさが小さい場合は自然妊娠が可能です。
ただし、妊娠中は女性ホルモンが大量に分泌されるため、子宮の拡大に合わせて子宮筋腫も大きくなり、妊娠中期には痛みを伴うことがあります。子宮筋腫が赤ちゃんの発育に影響を及ぼしたり、異常を引き起こしたりすることはありません。

妊娠中期を過ぎると筋腫の多くは柔らかく変化し、子宮の一部のようになるため、分娩に大きな支障をきたすことはないと考えられています。しかし、赤ちゃんが子宮口を通過するのを妨げてしまう場合、帝王切開となります。
自然分娩か帝王切開かは、陣痛の際に赤ちゃんの頭がどのくらい下がっているかでお医者さんが判断します。
また、胎盤が出た後の出血が多くなってしまう、軟化した子宮筋腫が炎症を起こし発熱する、子宮がうまく収縮せず悪露の出が悪いといった影響が母体に出る可能性があります。

症状が強い場合には、ホルモン剤で月経を止め、閉経状態にすることで筋腫の成長を止めることがあります。
ただし、更年期障害のような症状や、骨が弱くなるなどの副作用が出るので、若い人には行わず、閉経に近い年齢の人に一時的に行うケースがほとんどです。
筋腫が大きく、症状が酷い場合は手術をする場合もあります。
ただ、若い人や今後妊娠を望む人には、筋腫の部分のみ取り除き、子宮を温存する方法もあります(子宮筋腫核出術)。

筋腫の大きさや位置、症状、本人の年齢や希望などを聞き、相談して決めていきます。
良性のコブですから、症状が出ていないのであれば、治療をせずに経過を見ていくこともあります。

治療法は?

子宮腺筋症と合併していたり、たくさんできているような場合で、今後妊娠の予定がないという人には、子宮ごと取る手術を行うこともあります。
また、最近は、お腹を切らずに内視鏡で摘出する方法も行われるようになりました。
ほかにも、子宮に行く動脈に薬を入れて固めることで、筋腫の成長を止める子宮動脈塞栓[そくせん]術という手術法や、超音波を用いた集束[しゅうそく]超音波治療という方法も試みられています。

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