低出生体重児として生まれる原因は様々ですが、お母さんの体質や妊娠中の生活習慣が、子宮内発育不全に影響している場合があります。
低出生体重児になる原因
低出生体重児の多くは早産(妊娠37週未満)で生まれた赤ちゃんです。中には妊娠期間は十分なのに、胎盤機能不全やその他何らかの理由でs子宮内発育不全となり、低体重で生まれてくることもあります。日本国内の出生数は年々減少しているものの、低出生体重児の割合は毎年増加しています。これは、不妊治療により双子や三つ子の赤ちゃんが増えたこと、新生児医療のめざましい進歩によって超低出生体重児の赤ちゃんも救出できるようになったことが大きな要因だといわれています。全体の出生数に対して低出生体重児の割合は、約1割弱とされています。
生まれた時の体重が2,500未満の赤ちゃんのことを「低出生体重児」といいます。これまでは「未熟児」という言い方をしていましたが、出生体重別に呼び名を分けるようになり、
1,500g未満の赤ちゃんを「極低出生体重児」、1,000g未満の赤ちゃんを「超低出生体重児」と呼びます。
低出生体重児って?
歯周病
胎盤は赤ちゃんとお母さんをへその緒でつなぎ、お母さんから赤ちゃんに酸素や栄養を送る働きをしていますが、この機能が低下してしまうのが胎盤機能不全症候群です。赤ちゃんに十分な酸素、栄養を送ることができなくなります。
胎盤機能不全症候群
妊娠20週以降に高血圧が見られ、出産後12週までに血圧が戻るのが妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)です。もともと血圧の高い方が妊娠した場合や、高齢出産の場合にかかりやすいと言われています。胎盤の血管に圧力がかかるため、赤ちゃんに十分な栄養を送ることができなくなると言われています。
妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)
ダイエット
お母さんが飲酒・喫煙をすることで、母体の血管が収縮し、赤ちゃんに十分な栄養を送ることができなくなります。
飲酒・喫煙は赤ちゃんの他の病気の原因ともなり得るので、妊娠中は絶対に止めましょう。
妊娠中の喫煙・飲酒
妊娠中はつわりなどで歯磨きがしづらくなってしまうので、歯周病が起こる可能性があります。歯周病菌が産出する生化学物質は、子宮を収縮させ、早産を促してしまうと言われています。
標準的な体重の方の場合、妊娠期間中は7~12kg増えるのが理想だと言われています。妊娠中太りたくないという思いからダイエットをしてしまうお母さんがいますが、赤ちゃんが栄養不足になってしまうので、食事制限はしないでください。
生後数日間の間に起こる可能性のある症状
・新生児仮死
・呼吸窮迫症候群(肺機能が未熟なために起こります)
・動脈管開存症(出生後、肺呼吸が始まると自然に閉じるはずの動脈管が閉じずに残ってしまう病気です)
・低血糖
・電解質異常など
早く小さく生まれてきた赤ちゃんの体は、機能が未熟なため、いろいろな合併症を引き起こしやすくなっています。
低出生体重児が引き起こしやすい合併症
最近は、小さな赤ちゃんの救命率はだんだん高くなってきています。日本では、超低出生体重児(1,000g未満)であっても約80%以上の赤ちゃんが助かるようになりました。しかし、在胎週数が短くなればなるほど未熟性が強くなり、死亡率も高くなります。
生後数日から数週間にかけて、起こる可能性のある症状
・慢性肺疾患
・無呼吸発作
・貧血
・黄疸など
低出生体重児の治療
免疫力が弱く、感染症や合併症の恐れがあるため、新生児集中治療室(NICU)や胎児強化室(GCU)で過ごします。
・熱の産生が少なく、体温保持機能も低いため、保育器に入れて体温の低下を防ぎます。
・低血糖を起こしている場合は、静脈に点滴を行います。糖分が不足すると脳に障害が起こる可能性があります。
・無呼吸発作が起こりやすくなり、軽症の場合は酸素の吸入や呼吸中枢を刺激する薬を使用し、重症の場合は人工呼吸器で呼吸管理をします。