2016.06.11 Sat 更新

臍ヘルニアは「でべそ」?新生児・赤ちゃんのための治療法や原因について

でべそは、医学的に「臍ヘルニア」と言われています。でべそには2通りあり、皮膚だけが飛び出している「お腹の中と繋がっていない」ものと、「お腹の中と繋がっている」ものとがあります。この「お腹の中と繋がっている」ものが臍ヘルニアで、でべその中には腸が詰まっているのです。

腹壁形成不全説

臍帯ヘルニアの原因は、まだはっきりとは分かっていませんが、有力とされている2つの説があります。

臍ヘルニアの原因

臍(へそ)ヘルニアは、へその緒の中に生じるヘルニアの一種で、ほとんどの場合が出生前に診断されます。腸管や肝臓などの腹腔内臓器がへその緒から突出してしまう状態のことを言い、突出した臓器は羊膜(ようまく)、臍帯膠質(さいたいこうしつ)、腹膜の3層からなる薄い膜におおわれています。
発症頻度は1万人に1人程度ですが、50%以上以上の症例で染色体異常、消化管、心血管、泌尿生殖器、中枢神経系などの重症奇形を合併しています。
臍ヘルニアと混同しやすい病気に「臍帯ヘルニア」というのがありますが、こちらは臍帯の羊膜内に内臓器が脱出した状態を言い、臍ヘルニアと同じく超音波検査などの出生前診断で判明することができます。

臍ヘルニアって?

でべそが臍ヘルニアかもしれない!?その見分け方

実はでべそには2通りあり、皮膚だけが飛び出している「お腹の中と繋がっていない」ものと、「お腹の中と繋がっている」ものとがあります。この、「お腹の中と繋がっている」でべそは、出生後に自然と塞がるはずの臍輪が何らかの理由で塞がらずに、腹腔内臓器が飛び出している状態なので、後者のでべその場合は腹壁形成不全説の小さな臍ヘルニアである可能性が考えられます。

胎生5週になると、臍輪が形成された時に一時的にその臍輪から腸管が脱出する場合がありますが、通常胎生8~10週頃には腸管は腹腔内に戻ります。ところが、これが完全に戻りきれないまま成長が進んでしまうと、臍ヘルニアが引き起こされるのではないかという説です。こちらはされています。
臓器が大きく飛び出ているような臍ヘルニアの場合は前者が、小さめの臍ヘルニアの場合は後者が原因だと考えられています。

腸管腹腔内還納不全説

お腹の中の赤ちゃんは、胎生3~4週頃になると腹壁が形成されるようになります。胎児の体型形成は、外側から中心に向かって発育していきますが、何らかの理由により中央の臍の部分で癒合できずに腹壁の形成が障害されると、完全に閉鎖されずに臍帯ヘルニアが引き起こされるのではないかという説です。

新生児の臍ヘルニアは腹筋の力が弱いために起こります。成長して腹筋がつくと、臍の穴が自然と塞がって、飛び出ていた腸がお腹の中に納まるため、寝返りやハイハイができるようになる1歳前には95%の赤ちゃんが自然に治ります。そのため、すぐには治療をせずに様子を見ますが、治療を行う場合には手術をすることになります。
脱出している臓器を腹腔内に戻し、腹壁の穴を皮膚で覆う施術を行います。脱出臓器が少なければ、1回の手術で腹壁を閉めることができますが、脱出臓器が多い場合は、何回かに分けて少しずつ臓器を腹腔内に戻します。通常、1~2週間で戻すことが可能です。
手術中の麻酔には、小児の場合は全身麻酔が用いられます。
「臍ヘルニアを伴うでべそ」の手術は保険適応となりますが、一般的な「でべそ」(臍突出症)の手術はいわゆる”美容形成手術”になりますので保険適応外となります。

臍ヘルニアの治療

上記したように、でべそには「お腹の中と繋がっていない」ものと「お腹の中と繋がっている」ものがあり、触ることでどちらのタイプか容易に判断できます。
でべその中心を軽く押し、指で押さえると引っこみ、指を離すとまた出てくる場合は臍ヘルニアと言えます。赤ちゃんが泣いた時や、いきんだ時などお腹に力が入るたびに膨らむといった変化が見られるのも特徴的です。皮膚だけが飛び出しているでべその場合は、押しても特に変化はありません。

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