2016.06.13 Mon 更新

新生児循環不全とは?その原因は低体温や心不全など様々。

新生児循環不全は死亡してしまう恐れのあるとても怖い病気です。温かい子宮から生まれてきた赤ちゃんの体は、外の環境にうまく馴染めずに体のあらゆる機能に異変をきたしてしまいます。それが新生児循環不全です。初期にははっきりとした症状が出ないのが特徴ですが、早めの治療で命を救うことができます。些細な異変に気付いたら、病院を受診してくださいね。

新生児循環不全の症状

新生児循環不全になると、組織への血液循環が不良になってしまいます。お母さんのお腹の中と外での環境の急激な変化や体が未熟なために起こると言われています。
赤ちゃんの在胎している子宮の温度は38℃ととても温かく、赤ちゃんにとっては天国のような環境です。そんなところから25℃前後の寒い分娩室に生まれて来たばかりの赤ちゃんは、出生直後の低体温症を防ぐために産熱亢進と放熱抑制を行います。しかし、産熱亢進と放熱抑制を持続していると、赤ちゃんの体は嘔吐、低血糖症、肺高血圧症などの異常を来してしまいます。さらに、赤ちゃんが何らかの理由で重度の低血糖症に陥ると自律神経の機能不全に陥り、循環不全、体温調節・呼吸循環の調節も出来なくなり、やがて心肺停止となります。

新生児循環不全の原因

組織への血液循環がうまくいかなくなることを、循環不全と言います。組織の毛細血管の酸素交換が低下しているため、重要な臓器への血液循環が滞ってしまいます。健康を維持するための十分な血液を送り出すことが出来ないため、死亡してしまう恐れがあります。

循環不全とは

新生児循環不全の原因を探り、心不全からきたのか、血管内の容量不足からきたのかでそれぞれ適した治療を行います。新生児の循環不全は両者を合併している場合があります。

新生児循環不全の治療法

循環不全が心不全からくるのか、血管内の容量の不足からくるのかを判断します。胸部単純X線、心エコー(超音波)、頭部エコー、心電図、血液検査などが必要となります。

新生児循環不全の診断

新生児循環不全は、初期にははっきりとした症状が見られず、おっぱいを吸う力が弱くなる、元気がないといった様子から始まります。進行すると血液の量が減るために皮膚は蒼白となり、手先足先が冷たくなる末梢冷感や浮腫(むくみ)、大理石様皮膚(皮膚の色が赤紫色の網目状に変化する)、おしっこの量が少なくなる、毛細血管歳充満時間延長(爪や軟部組織を5秒ほど圧迫すると、血液の赤みが消失して蒼白になる)、肝臓が肥大する肝腫大(かんしゅだい)といった症状を認めます。脈が速くなる(頻脈)、不整脈、心音に雑音が混じる(心雑音)、多呼吸、努力性呼吸(不足した呼吸量を補うために、普段使わない筋肉を使って行われる呼吸)などとともに血圧が低下すると、循環不全はさらに全身状態を悪化させ、ひどい場合にはショックを起こします。

新生児循環不全に気付いたら

組織の酸素消費量を減らすことを目的に、体温は37℃前後に保ち、授乳を禁じます。酸素投与や人工換気療法、さらに鎮静を必要とする場合があります。代謝性アシドーシス(血液が酸性に傾いた状態)が長引く場合には炭酸水素ナトリウム(メイロン)を投与します。
新生児で多いのは、感染症です。新生児期は免疫力が弱く細菌に感染しやすいため、抗菌薬の投与や点滴などをしてしばらく入院が必要となることがあります。

・循環血液量不足からきている場合
循環血液量不足からきている場合には生理食塩水を投与して反応を見ます。貧血がある場合には輸血、低蛋白血症がある場合にはアルブミン製剤の投与、新鮮凍結血漿の投与を行います。

・心不全からきている場合
心不全からきている場合には水分制限を行い、利尿薬、強心薬の投与を行います。

新生児循環不全の予防としては、早めに赤ちゃんの異変に気付いてあげることです。おっぱいを吸う力が弱い、ぐったりとして元気がないといった些細な変化でも良いので病院に連れて行きましょう。新生児循環不全は死に至る恐れのある怖い病気ですが、初期段階で治療を開始することができれば十分に完治します。
原因により治療法も異なるので、まずはかかりつけの小児科を受診して症状や原因にあった専門医を紹介してもらいましょう。

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