遺伝性球状赤血球症の症状
遺伝的異常が原因であると言われており、遺伝する疾患です。
しかし、約30%は突然変異により発症します。
遺伝性でない場合は誤診を受けやすく、診断に時間がかかる場合もあり注意が必要です。
子どもの黄疸がひどい場合や食欲不振に気づいた時は検査を受けましょう。
遺伝性球状赤血球症の原因
人間の血液細胞の一つである赤血球は通常、中央がくぼんだ円盤状の形をしています。
遺伝性球状赤血球症とは、その名の通り、赤血球が球状に変形してしまう疾患です。
赤血球が変形することで本来の機能が低下し、壊れやすくなってしまう「溶血」を引き起こします。
赤血球が少なくなれば、人は貧血状態に陥ってしまいます。溶血が原因で貧血状態になってしまうことを「溶血性貧血」といいます。
遺伝性球状赤血球症とは?
黄疸
赤血球が破壊されることで貧血になります。重い貧血になると活動性が低下し、ミルクを飲まなくなるなど、赤ちゃんの発育不良に繋がる場合があります。感染症にかかると急速に貧血が進行するので注意が必要です。
貧血
・貧血
・黄疸
・脾臓の腫大(脾腫)
・その他…食欲不振、発熱、下痢など
主な症状
軽度の貧血や黄疸は健康な赤ちゃんでも生理的な作用で現れます。
しかし遺伝性球状赤血球症など病気が原因になっている場合は適切な治療が必要です。
また、貧血などの症状は体が成長し6歳以降になると赤血球の生産が増え、現れなくなるケースもみられます。
脾臓は古い血液を貯めたり古くなった赤血球を分解(破壊)する役割があります。
たくさんの赤血球が脾臓で分解されることになり脾臓が腫れてしまいます。
脾臓脾臓の腫大によって腹部や背中に痛みがでることもあります。
合併して起こりやすい病気の一つに胆石が挙げられ、胆石の手術を行う際に初めて遺伝性球状赤血球症が発見されることもあります。
脾臓の腫大
赤血球が壊れる際に作られる黄色い色素をもつビリルビンという成分が大量に増え、赤ちゃんの目や皮膚が黄色っぽくなります
遺伝性球状赤血球症の治療法
また、赤血球を破壊している場所が脾臓であるため、脾臓を摘出することで症状は治まります。
治療法としては一番効果的と言えるでしょう。
しかし、脾臓は免疫に関わる機能を持っているといわれており、摘出することでリスクも生まれます。
そのため手術については賛否両論です。
黄疸への光線療法や交換輸血が行われます。
特に新生児期や感染により溶血が悪化し重度貧血がみられる場合は赤血球輸血が必要になります。
まとめ
免疫力低下を避けるため赤ちゃんのうちは手術を行わず、体が成長してから摘出するケースや、大きくなってからも摘出しない、というケースもあり、担当医師の考えや判断によることが多いようです。
摘出後は抗生剤の服用などで免疫力をカバーしていくことになります。
遺伝性球状赤血球症は、脾臓を摘出するかどうか・タイミング・摘出後の予後など、一生つきあっていく病気と言えます。
しかし、適切に治療をうければ命に関わることはない病気です。
診断されても元気にすくすくと育った、普通の人より健康という方の声もたくさん聞かれます。
あまり心配しすぎないようにしてくださいね。
手術のメリット・デメリットをしっかり把握し、赤ちゃんと一緒に歩んでいきましょう。