弛緩出血の原因
弛緩出血を含む出産後のトラブルに迅速に対処するために、通常、お産が終わった後でも2時間程度は分娩室で過ごします。
その際に医師が出血量や子宮の収縮状態のチェックを行い、500mlを超える出血があったり、子宮の収縮状態が悪かったりすると弛緩出血が疑われます。
弛緩出血は、子宮内に溜まった血液が突然吹き出すように出血するタイプと、ダラダラと出血し続けるタイプがあります。
どちらも大量出血につながるため、早急に対処が必要となります。
しかし、弛緩出血は痛みはほとんどないため、出産直後のママが自覚するのは難しいと言われています。
弛緩出血の症状
弛緩出血(しかんしゅっけつ)とは、分娩が終わったにもかかわらず子宮内からの出血が止まらない状態を指します。
正常な分娩でも多少の出血は見られますが、分娩中および分娩後2時間までに500ml以上の出血がある場合は分娩時出血多量と呼ばれ、原因は弛緩出血であることが多いようです。
弛緩出血は出産時に起こるトラブルのうち、比較的多くみられるものです。
弛緩出血が起こる確率は出血量ごとに「500〜1,000ml:15%程度」「1,000〜2,000ml以上:3%程度」「2,000ml以上:0.1%程度」とされています。
弛緩出血とは
お産で胎盤などが正常に排出されずに子宮内に留まっている状態です。
残留物によって子宮収縮が妨げられています。
子宮内に胎盤などが残っている
お産が長引いたり、巨大児や羊水過多で子宮が伸びすぎてしまったことで子宮筋が疲労してしまったケースです。
子宮筋腫や子宮奇形の病気、子宮収縮薬の影響なども考えられます。
子宮の筋肉が疲労している
お産で胎児や胎盤が娩出して空になった子宮は、通常はすぐに収縮しはじめるものです。
子宮筋の収縮は出産後の出血を止める重要な役割を果たします。
しかし、何らかの原因で収縮しない場合、止血できずに弛緩出血が起こります。
分娩時に子宮の出口近くにある子宮峡部と呼ばれるという部分に裂傷が起こると、子宮収縮が妨げられてしまいます。
子宮峡部には子宮収縮を司る神経が集まっているためだと考えられています。
子宮峡部が切れてしまっている
播種性血管内凝固症候群(通称:DIC)という状態に陥っているケースです。
胎盤が剥がれた部分に羊水が流れ込み血液凝固作用を阻害してしまいます。
血液が固まりにくくなっている
遺伝的素因
弛緩出血の治療法
弛緩出血には遺伝的素因があり、分娩後の子宮収縮が起こりにくい体質の人がいるといわれています。
一人目の出産時に出血量が多かった人は、二人目の弛緩出血を起こすリスクが通常より高いそうです。
子宮内になにも残っていない、あるいは除去しても止まらない場合は、子宮収縮薬の投与、子宮収縮促進のマッサージ、止血の圧迫法などが行われます。
たいていの場合はこの治療で治まりますが、効果がみられないときは「血液が固まりにくくなっている」「子宮峡部の裂傷」などが原因とかんがえられるので、バルーンによる圧迫止血や開腹手術による止血が行われます。
弛緩出血が疑われる場合は、子宮内の触診が行われます。
どの原因で弛緩出血が起こっているかによって治療法は異なります。
子宮内に胎盤などが残っている場合は子宮内のものを除去すれば出血は止まります。