2016.07.12 Tue 更新

赤ちゃんの病気、先天性腸管閉鎖。どんな病気?

赤ちゃんの先天性の病気「先天性腸管閉鎖」。 ご存知でしたか? 「先天性食道閉鎖」とよく似た病名ですが、原因も症状も全く違います。 今回は「赤ちゃんの病気、先天性腸管閉鎖」についてご紹介します!

発症する割合は、2,000~5,000人に一人の割合で発症します。
低出生体重児に多く見られ、ダウン症や他の消化管奇形、心大血管奇形等を併発することがあります。

膜様型の膜様隔壁に小さな穴があいている場合「狭窄症」になります。
ですが、狭窄の例は大変少なく、ほとんどの割合で「先天性腸管閉鎖」と言われています。

先天性腸管閉鎖の割合

先天性腸管閉鎖は、十二指腸から結腸までのいずれの腸管にも発生する先天性の病気で、新生児で手術が必要な病気の中では、比較的多く見られます。
原因は分かっておりませんが、何らかの理由で生まれつき腸(十二指腸,空腸,回腸の一部が繋がらず、途中で離断されたままの状態で生まれてくることを「先天性腸管閉鎖」と言います。

先天性腸管閉鎖とは?

発症する箇所は、十二指腸・回腸・空腸に多く見られます。
閉鎖のタイプは膜様型、索状型、離断、型離断特殊型、多発型に区別されます。

先天性腸管閉鎖の分類

飲んだものや腸液が、閉鎖部の手前にたまり嘔吐を起こします。
十二指腸の胆管、膵管の開口部より下部が閉鎖した場合は胆汁性嘔吐を引き起こします。
通常24時間以内に排泄される胎便の排泄が遅れたり、嘔吐やお腹が張ってくること、黄疸で発見される場合が多いようです。
そのまま放置すると、血液循環が悪くなります。
そして、腸穿孔が発生することもあります。

先天性腸管閉鎖の症状

両盲端間が索状物でつながります。

索状型(さくじょうがた)

粘膜のみで閉鎖を起こします。空腸に多く発症します。

膜様型(まくようがた)

離断型

広範囲の腸間膜欠損のために肛側腸管が1本の栄養血管に巻きついている状態です。

離断特殊型

腸間膜のV字欠損を引き起こします。。回腸に多く発症します。

離断型と索状型が混合し連続したものを指します。

多発型

先天性腸管閉鎖の診断

羊水過多、超音波検査による出生前診断が可能です。
他に、レントゲンと注腸造影の2通りがあります。

注腸造影

先天性腸管閉鎖を発症しているのならば、閉鎖部位に二重泡像や多重泡像が確認されます。

レントゲン

先天性腸管閉鎖の治療

注腸造影は、造影剤を用いてX線透視下で行われ、内視鏡検査では盲点となる、曲がりくねった腸の内側や、腸管壁の変形、狭窄の程度や長さを見ることができます。
先天性腸管閉鎖を発症しているのならば、下部空腸閉鎖や回腸閉鎖で小結腸像が確認されます。
この注腸造影を行うことで、腸回転異常症やヒルシュスプルング病との合併の有無を調べることができます。

先天性腸管閉鎖は、早期発見により重篤な症状の発生を防ぐことができます。

治療は緊急を要するため,急いで鼻から胃まで管を通し、溜まった腸内容の吸引・減圧します。
さらに、点滴で脱水症や電解質の異常の補正を行い,状態が良くなってから手術を行います。
手術の緊急性は、先天性腸管閉鎖を発症している箇所によって変わります。

小腸閉鎖

小腸閉鎖の手術の場合、胃に留置したチューブから持続的に吸引をしますが、腸の動きで胃から先に空気や液体が入ってしまうため、早晩腸の一部が裂ける穿孔(せんこう)が発生します。
穿孔が発生する前に手術を行うことが原則的ですが、穿孔が発生した場合は緊急手術が必要です。

膜様部か閉鎖部を切除して腸を縫い合わせて繋ぎます。
小腸が短い場合には、術後の腸の長さが極端に短くなるため、長期にわたって高カロリー輸液治療を必要とします。

十二指腸管閉鎖

十二指腸管閉鎖の場合は、胃に留置したチューブから持続的に吸引します。
胃・十二指腸が破れる恐れがないため、手術を延ばすことが可能です。

いかがでしたか?
先天性腸管閉鎖は怖い病気ですが、早期発見に早期治療をすることで、重篤な状態を避けることができる病気ですよ。

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