新生児壊死性腸炎の原因
男女比は1:2で女児に多く、母乳栄養児よりも人工栄養児に多く発症します。
死亡率は30~40%と高く、危険で深刻な病気です。
低出生体重児での死亡率は、壊死性腸炎が最も高いとされています。
新生児壊死性腸炎の発症率は新生児集中治療室(NICU)入院児の0.2%前後で、症例の4分の3が極低出生胎児です。
新生児医療の進歩により体重の小さな赤ちゃんの命が助かるようになってきたため、壊死性腸炎の発生が増加しているといわれています。
NEC(ネック)とも呼ばれる新生児壊死性腸炎は後天性の消化管疾患で、ほとんどが非常に早く生まれた早産児に発症します。
広範囲の腸管に出血や壊死が起きる疾患です。壊死の範囲や程度によって重症度に幅があります。
新生児壊死性腸炎とは?
新生児壊死性腸炎の診断
生後4~6日経ってから発症することが多いです。
多くは授乳後に発症します。
ほとんどの場合、急激で重篤な経過をたどり、腸管が穿孔すると、腹腔内に腸管内容が漏れておなか全体に炎症を起こす腹膜炎や敗血症を起こしてしまい重症になることがあります。
超低出生体重児(1000g未満)や重度の胎児発育遅延が認められた子供では、授乳開始前に発症する例もあります。
・腹部が腫れている、または変色している
・胆汁に染まった腸液を吐く
・血便
・下痢
・食欲不振
・体温の低下
・感染の徴候(呼吸状態の悪化・発熱・不活発)
新生児壊死性腸炎の症状
原因はまだはっきりとわかっていませんが、いくつかの説があります。
一説では未熟な腸管に血流障害(虚血)や感染症、授乳による腸管へのストレス、薬剤などの誘引が加わり発症すると考えられています。
腸の免疫(めんえき)や運 動が未熟なために腸の中で細菌が異常に増えます。
これに加えて,血液の流れが障害されて腸の壁に傷ができると,その細菌が腸の壁のなかに入り込みやすくな り壊死をおこすと考えられます.
また、難産の間の酸素不足によって発症するという説もあります。
新生児壊死性腸炎は死亡率が依然として高く、早期診断、早期治療が重要です。
ほとんどの場合、NICUに入院中の子どもに発症するため、全身管理を行い、必要であればただちに新生児外科治療を行う必要があります。
疾患が疑われたらまず授乳を禁じ、胃まで吸引チューブを通して腸管の減圧を行い、静脈から抗生剤と水分の投与を開始します。
新生児壊死性腸炎の治療
新生児壊死性腸炎の確定診断は腹部X線検査によって行います。
腸の壁の中にガスがある(腸壁気腫症)、腸の壁が敗れた場合は腹腔に遊離した空気があるといった所見が得られます。
原因菌と敗血症の他の指標を調べるため採血します。
内科的治療で改善傾向がみられない場合には腹腔ドレナージを行います。
重症例では、腸に穿孔が生じる(腸壁に穴があく)場合があります。
この場合、通常腸内のみに存在する細菌が腹部に漏出し、広い範囲に感染が広がります。
このような重症例では絶対に手術が必要です。
新生児壊死性腸炎は進行が早く、非常に深刻で危険な疾患です。
ほとんどの場合、NICUの中で診断されますが、赤ちゃんにこの疾患の症状が見られる場合は早急に治療を受けてください。
まとめ
穿孔したところが部分的であれば、穿孔した腸と壊死した腸管を可能な限りに切除し、切除した端と端をつなぐ手術をします。
しかしそのような状況は少なく、たいていは切除した端と端をストーマにします。
その後、状況や体重増加や時期をみてストーマを閉鎖します。