2016.07.28 Thu 更新

赤ちゃんの新生児髄膜炎ってどんな病気?その種類や原因、対策法について

赤ちゃんがかかる病気の中で「髄膜炎」はとても怖い病気です。重症化しやすく後遺症が残ったり、最悪の場合は命にかかわる危険があります。今回は髄膜炎の種類や原因について詳しくご紹介します。

ウイルス性髄膜炎

髄膜炎は炎症を起こしている原因によって2種類に分かれます。

新生児の髄膜炎の種類・原因

髄膜とは脳や脊髄を覆っている膜のことです。髄膜に細菌やウイルスが侵入し炎症を起こした状態を髄膜炎といいます。
大人が髄膜炎にかかることは稀で、主に生後6ヵ月~2歳くらいまでの赤ちゃんに多く見られます。極稀に1万人に1人の割合で新生児が髄膜炎にかかることもあります。
髄膜炎が重症化した場合は適切な治療をうけても耳の障害や発達障害などの後遺症が残ることがあります。

新生児の髄膜炎とは?

髄膜炎の初期症状は以下のようなものです。

新生児の髄膜炎の症状

新生児期であれば、B群溶血連鎖球菌、大腸菌(重症になりやすい)が主な原因となります。
生後2ヵ月以降ではインフルエンザ菌や肺炎球菌が主な原因菌です。
ウイルス性の髄膜炎よりも発症頻度は少ないものの、重症化しやすく後遺症が残りやすいのが特徴です。
適切な治療を行っても約5%が死亡してしまうと言われています。

細菌性髄膜炎

エンテロウイルスやムンプスウイルスなどのウイルスに感染して起こります。
エンテロウイルスは夏風邪の原因となるウイルスで夏を中心に流行します。
ムンプウイルスはおたくふくかぜの原因ウイルスです。通常は耳下腺炎を発症した後に髄膜炎を起こしますが、髄膜炎のみのこともあるようです。
ウイルス性髄膜炎は重症化する可能性が少なく、後遺症が残る可能性も低いと言われています。

新生児の髄膜炎の治療法

初期段階では風邪と非常に良く似た症状で見分けがつきにくく、髄膜炎が見過ごされるケースが多くあります。
症状が悪化して意識が朦朧としたりけいれんを起こしたりすることで気づかれるのが一般的です。
咳や鼻水の症状がないのに高い熱が続く、元気が無いときには髄膜炎の疑いがあります。

・発熱
・嘔吐
・下痢
・頭痛
・腹痛
・不活発
・機嫌が悪く泣きやまない
・哺乳量の減少

髄膜炎が疑われる場合は髄液を調べます。
腰に針を刺して髄液をとり、髄液の状態や増殖している細胞の種類、ウイルスの有無などを調べて、ウイルス性か細菌性か特定します。
髄膜炎かどうかはだいたい当日中にわかりますが、原因となっている菌やウイルスの特定には数日かかります。

細菌性髄膜炎の治療法

ウイルスには特効薬がないため、対症療法が基本になります。
ウイルス性は重症化することが稀なので経過観察になるケースが一般的です。

ウイルス性髄膜炎の治療法

新生児の髄膜炎の予防法

細菌性髄膜炎の場合は細菌にあわせた抗生物質が投与されます。定期的に血液検査や髄膜検査をしながら投与を止める時期を検討します。

髄膜炎は早期発見が難しく、適切な治療をしても後遺症が現れる確率が高い病気です。
万が一の事態を避けるためには感染する前に予防することが大切です。
赤ちゃんの予防接種には「小児用肺炎球菌ワクチン」と「ヒブワクチン」が導入されており、予防接種を受けていれば高い確率で細菌性髄膜炎を防ぐことができます。
毎日の手洗い・うがいといった基本的な対策も忘れないようにしましょう。

まとめ

髄膜炎は風邪と見分けるのが難しく、治療が遅れることが多いものです。
赤ちゃんは具合が悪いということを言葉で伝えることができません。
日頃から様子をしっかり観察して赤ちゃんからのSOSサインを見逃さないようにしましょう。
少しでも普段と様子が違ったら早めの受診を心がけてくださいね。

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