2016.10.31 Mon 更新

胎児水腫はどんな病気?症状・原因・治療法

胎児水腫という病気を知っていますか? 珍しい病気ですが妊婦健診の際に指摘される可能性があり、赤ちゃんの生命にかかわる重大な病気です。今回は胎児水腫の症状や原因、治療法などを詳しくご紹介します。

非免疫性胎児水腫

母体と胎児の血液型が一致しない、血液型不適合妊娠の場合に起きます。
母親の血液型が「Rh陰性」で、胎児の血液型が「Rh陽性」の時に起こり得る「胎児の溶血性貧血」が原因となる胎児水腫です。
これは免疫反応が原因で起こっていることから免疫性胎児水腫と呼ばれています。
最近では予防法ができたことによって、このタイプの胎児水腫はほとんど見られなくなったようです。
胎児水腫全体の15%とされています。

免疫性胎児水腫

胎児水腫の原因は様々ありますが大きくわけて2種類にわかれます。

胎児水腫の原因

胎児水腫の治療法

胎児水腫は18〜31週頃の妊婦健診の超音波検査(エコー)でわかります。
赤ちゃんの皮膚が厚くなって、腹水や胸水などが確認できた場合に、胎児水腫と診断されます。

胎児水腫の検査方法

免疫性胎児水腫以外の原因で起こる胎児水腫を非免疫性胎児水腫と呼びます。
胎児の先天的な異常・先天的感染症・一卵性双胎などによって発症します。
妊娠初期にママがりんご病にかかってしまうと、ウイルスが赤ちゃんに感染してしまい、重症の貧血を起こしてしまうことで胎児水腫になることもあるそうです。
これら以外にも様々な疾患が原因になる可能性があります。
胎児水腫全体の85%と免疫性よりも多い発症率となっています。

羊水腔シャント術

具体的な胎児水腫の治療法として「穿刺(せんし)」という方法があります。
胎児の体外から胸腔内に注射針を刺し、溜まった胸水を抜いていく方法です。
穿刺してもまた繰り返し、胎児の体内に水が溜まってしまうようならば次の治療法に移ります。

穿刺

残念ながら現在のところ胎児水腫を根本的に治療する方法はありません。
ほとんどの赤ちゃんはお腹の中で心不全の状態になっているため予後は不良で、成長とともにむくみが広がって内蔵を圧迫し、赤ちゃんはお腹の中で、もしくは生まれてすぐ亡くなってしまうことが多いのが現状です。

胸水と羊水の間に細いチューブを通し、持続的に溜まってしまう胸水を体の外に出していく方法です。
2012年より健康保険で行うことができるようになりました。

胎児水腫の原因が胎児の貧血である場合に母体の子宮に直接針を指し、へその緒を通して胎児に輸血するという方法です。
これを胎児輸血と言います。
輸血によって貧血を改善することができれば、赤ちゃんが好ましい状態で出産できると言われています。

注射による輸血

治療薬

胎児水腫の予後

胎児の不整脈が原因の胎児水腫の場合は、母体に抗不整脈薬を投与し、胎盤を介して胎児の治療を行います。

胎児水腫にかかってしまった赤ちゃんの予後はあまりよくありません。
しかし治療で予後良好となる可能性もあります。
血液型不適合による胎児水腫は胎児輸血という治療法の確立によって、生存率が50%から75%まで上がりました。
もしも妊婦健診で指摘された場合は医師と相談しながら治療法を検討していきましょう。

ランキング

ページトップへ