点頭てんかんの発作は、1回数秒程度の短い発作を5分〜10分続ける「シリーズ発作」です。
点頭てんかんの症状
点頭てんかんの場合、通常のてんかんのように手足の硬直やけいれんなどの激しい発作がありません。
「点頭」とは首を前に倒してから上げる動作のことで、うなずくような仕草が点頭てんかんの発作の特徴です。
赤ちゃんなら誰にでも見られる「モロー反射」の動きに似ているため、発作と気づかれないまま放置されてしまうこともあります。
発症することは極めて稀ですが生後5〜6ヶ月頃が発症のピークとなるので注意して見てあげて下さい。
てんかんは、大脳の神経細胞からの過剰な放電によって反復性の「てんかん発作」を起こす慢性の脳疾患です。
その中で、点頭てんかん(てんとうてんかん)は、生後4ヶ月〜1歳以下の赤ちゃんに発症するてんかんの一つです。
発見者の名前から「ウエスト症候群」とも呼ばれます。
点頭てんかんとは
モロー反射は赤ちゃんの原始反射の一つで、赤ちゃんがびっくりして起こる現象です。
主に寝ている時にビクッとなったり、指を広げて腕を伸ばし、何かに抱きつくような動作をするのが特徴です。
点頭てんかんとモロー反射の違い
意識を保っていることがほとんどで、てんかんの発作だと気づかないまま治療の開始が遅れてしまうこともあります。
・顔を縦に動かしてうなずくような仕草
・体を折り曲げるようにお辞儀をする
・驚いたように両腕を広げる
・体は動かさずに目が寄ったり声を出したりする
点頭てんかんの原因は、原因の特定が難しい特発性のものと、妊娠中期から出産数日後の周産期のトラブルで起こる症候性の原因の2つに分かれます。
特発性の点頭てんかんは遺伝が関係している可能性も考えられていますが、ほとんどの場合は検査を行っても原因がわかりません。
症候性の点頭てんかんは、胎内でのウイルス感染や低酸素性虚血性脳症、染色体異常などの基礎疾患があげられます。
点頭てんかんの原因
素人が区別するのは難しい面があるので、赤ちゃんの動作がおかしいと感じた場合は、まずはかかりつけの小児科を受診しましょう。
受診する際は、発作が起きた時間や回数などを記録したものや、症状があらわれたとき赤ちゃんの動画を撮っておくと診断に役立ちます。
寝ている時に起こるモロー反射に対して、点頭てんかんの発作は意識がある場合に起こることが多いという違いがあります。
また、モロー反射の特徴として、反射にびっくりして赤ちゃんが泣き出してしまうことがあります。
点頭てんかんの検査方法
ACTH療法というホルモンを使った治療法もありますが、副作用が強いため、抗てんかん薬やビタミンB6の投与でてんかん発作を抑える方法をとることがあります。
また、点頭てんかんの原因が脳腫瘍や頭部の外傷などであれば手術が行われることも多くあります。
点頭てんかんの治療法
点頭てんかんを見た目だけで診断するのは難しいため、脳波検査を行います。
点頭てんかんの場合、ヒプスアリスミアという不正波がみられるのが特徴です。
この脳波を確認したうえで、シリーズ発作と精神運動の発達に遅れが見られる場合、点頭てんかんと診断されます。
染色体異常や代謝性疾患などによる症候性の点頭てんかんが疑われる場合は、血液検査や脳検査、頭部CT、MRI検査などを行って原因を特定します。