卵巣がんの症状
卵巣がんの年齢別の発症率は40歳代から増加して、50〜60歳代がピークになります。
年間死亡者数は2015年の段階で4000人以上とされています。
もっとも多くみられるのは、卵巣の表面にできる「上皮性卵巣がん」で、悪性と境界性悪性を合わせると、卵巣がん全体の9割以上を占めます。
次に多いのは、卵巣の中にある卵子の元となる細胞「胚細胞」からできる悪性腫瘍で、「悪性卵巣胚細胞腫瘍」と呼ばれます。
卵巣は非常に腫瘍ができやすく、卵巣で見つかる腫瘍の約8〜9割は良性の腫瘍です。
卵巣がんとは、卵巣にできる悪性の腫瘍、または良性と悪性の境目にあたる腫瘍(境界性悪性)のことを指します。
卵巣がんとは・卵巣がんの種類
卵巣がんの原因ははっきりとはわかっていませんが、遺伝的関与が指摘されています。
卵巣がんで遺伝的関与があるのは5〜10%で、近親者に卵巣がんにかかった人がいる場合は、いない場合にくらべて発症の確率が高くなるといわれています。
早期発見が難しい病気だからこそ、発症前に遺伝カウンセリングや検査を受けてみることが大切です。
自分が卵巣がんにかかりやすいかどうかを知ることができます。
卵巣がんの原因
胸にまでがんが広がることで胸に水がたまって息切れするといった症状が出始めて異常に気づくことも少ないがんといわれています。
腹部の違和感があった場合には、早めに婦人科を受診することが大切です。
進行した状態では、下腹部にしこりがある、圧迫感がある、膀胱が圧迫されて尿が近くなったり食事ですぐに満腹感を感じるなどの症状があらわることがあります。
また、お腹の中にがんが広がると、おなかに水が溜まって腹部全体が張ってきます。
卵巣がんは初期にはほとんど痛みがなく、早期の発見が難しい病気です。
そのため発見したときにはほかの部位に転移しているなど症状が進行している可能性が高くなります。
基本的には手術を行い、その後は抗がん剤による薬物療法を進めることになります。
通常手術では、卵巣・卵管・子宮・腸を覆っている脂肪組織を切除しますが、腫瘍の種類や進行状況によっては、リンパ節や他の臓器を切除することもあります。
卵巣がんは手術だけで完治することは極めてまれです。
ほとんどの患者さんは手術後に抗がん剤治療が必要となります。
卵巣がんの治療法
遺伝以外では、動物性脂肪の摂り過ぎや喫煙が原因となる可能性が指摘されています。
また、出産歴がない場合に卵巣がんの発生リスクが高まるともいわれています。
逆に経口避妊薬の使用は、卵巣がんの発生リスクを低下させます。
卵巣がんの妊娠への影響
がんの状態や進行度によっては妊孕能温存手術ができない場合もあります。
リスクを踏まえ主治医やご家族と相談のうえ、慎重に決定してください。
・悪性胚細胞腫瘍の場合
・上皮性腫瘍のうち境界性悪性腫瘍の場合
・上記に該当しないが妊娠を強く望んでおり、術中にがんが今のところ片方の卵巣のみであると判断される場合
悪性の卵巣がんにおける治療では卵巣と子宮を切除するため、その後の妊娠は難しくなってしまいます。
しかし、患者が妊娠・出産を望んでいて、病状が下記のようなときには、がんがある卵巣と卵管と脂肪組織のみを切除し、子宮と片方の卵巣を温存する「妊孕能温存手術(にんようんのうおんぞんしゅじゅつ)」が行われることがあります。