男性のおよそ3人に1人が経験しますが、自然治癒することがほとんどです。
特に症状も痛みもないので治療の必要はありませんが、「陰嚢水腫」や「精巣上体炎」との区別がつきづらいので、しこりを発見した場合は必ず1度は医療機関を受診してください。
こぶが大きくなりすぎて違和感がある場合には切開手術を行うケースもあります。
精巣上体に精液がたまり、「こぶ」ができる状態です。
精巣の裏側にある螺旋状の長い管に精液がたまったままになると精液嚢腫あるいは精液瘤が起きます。
精液に精子が含まれていれば精液瘤と呼びます。
精液瘤(せいえきりゅう)・精液嚢腫(せいえきのうしゅ)
正常な精巣(睾丸)は楕円形で長い方の直径が4cm以上あるとされています。
精巣のしこりは珍しいことではなく、若い男性でも起こりうることです。
しかし、このしこりは次のような病気を知らせるサインです。
精巣にしこりや腫れがみられる場合は必ず医療機関で検査を受けるようにしましょう。
睾丸(精巣)にしこりが生じる病気
しこりがあるだけでなく、激しい痛みや腫れ、発熱が見られる場合は精巣上体炎の可能性があります。
悪化すると陰嚢のなかにうみがたまり、破れてでてくることもあります。
精子を一時的に貯蔵する精巣上体が炎症を起こす病気で、尿道を経由して体内に入った最近が精巣上体まで逆流し、繁殖することよって引き起こされます。
大腸菌などの一般的な最近が原因になりますが、クラミジアや淋菌など、性病が原因で精巣上体炎を発症することも多いので注意が必要です。
精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)
男性のおよそ7人に1人の割合で見られ、解剖学的に左側の精巣に起こりやすいといわれています。
痛みや腫れなどはなく、発見が遅れるケースが多くあります。
治療は外科手術を行います。
左右の精巣の大きさに明らかな差があり、大きい方が入った陰嚢の皮膚表面をさわったときに「でこぼこ」がある場合、精索静脈瘤の可能性があります。
血液が精巣から心臓へと戻るときに、腎静脈についている逆流防止弁がうまく働かず、精巣に向かって血液が逆流してしまうことによって精巣の中の静脈が膨らみ、こぶができた状態です。
精巣静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)
精巣のしこりと不妊の関係
精巣にできる悪性の腫瘍(がん)です。
発生初期には精巣内にしこりを感じるものの、痛みや腫れがないため放置してしまうことも多いようです。
しこりががんなのかどうか診断できるのは医師だけです。
精巣がんは転移しやすいため、しこりを発見したらすぐに泌尿器化を受診しましょう。
米国の15~34歳の男性で一番発症率の高いがんが精巣がんというデータもあります。
精巣がん
治療は抗生剤の経口投与、局所の安静、冷却を行います。
発熱などの全身症状がみられる場合は消炎鎮痛薬の投与とともに、入院・点滴が必要になることもあります。
比較的治りやすい病気ですが、発見が遅れ初期の治療が不十分だった場合、陰嚢を切開してうみを出さなければならなかったり、精巣を含めて精巣上体を摘出しなければならないこともあります。
上でご紹介した、精巣にしこりがある場合に考えられる4つの病気のうち、精液瘤以外の3つは男性不妊症の要因になりえます。
違和感を感じたらすぐに病院を受診してください。