妊娠25週目
妊娠中は糖質を胎児に優先的に供給するため、体脂肪が主なエネルギー源になります。
このことから、妊娠中は体脂肪をためやすい体になっており、ほんの少し食べ過ぎただけでも体重が増加してしまいます。
また、大量に分泌されているプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響でむくみやすくなっていることも体重増加の原因です。
塩分を控えた食事を摂ってむくみを防止し、1日2,000~2,100kcalを目安にバランスのいい食事を心がけましょう。
胎児の大きさは300~350ミリ、体重は550~1,000グラムほどと1ヶ月前に比べて身長は1.3倍、体重は2倍になります。
脳が発達して体のコントロールができるようになることで、羊水の中を自由自在に動きまわっています。
妊婦さんの子宮底長は23~28センチほどで、おへそより上に子宮のてっぺんがくることで、胃のあたりからお腹が前にせり出していきます。
お腹が大きくなったことにも慣れてくる時期で、お腹を抱えて歩く方が多くなります。
妊娠24週目
妊娠24~27週目にあたる妊娠7ヶ月は、お腹がますます大きくなり、動悸、息切れといった息苦しさを感じる時期です。
今回は「妊娠7ヶ月目の妊婦さんの症状と赤ちゃんについて」をご紹介します。
赤ちゃんは脳が発達し、自分の意志で子宮の中を動きまわることができるようになるので、強くたくましい胎動を頻繁に感じられるようになるのが7ヶ月目です。
妊娠26週目に入る頃、子宮底長は24~30センチほどの長さになり、お腹の下側とウエストのあたりが膨らんできます。
大きくなった子宮が心臓や横隔膜を圧迫し、血液量が増えることから、通常より心臓に負担がかかり、動悸や息切れを起こす方がいます。
妊娠後期から臨月にかけて動悸・息切れはさらにひどくなり、場合によっては気絶してしまう危険性があります。
少しでも息苦しさを感じたら、安静にしてください。
妊娠26週目
妊娠週数が進んでお腹が大きくなることで、徐々に骨盤が緩み、歪んでしまいます。
その影響で歩き方も無意識のうちに変化し、骨盤・背筋・腹筋に負担がかかり、足の筋肉が影響を受けて、足やふくらはぎがつりやすくなってしまいます。また、運動不足による血行不良も足がつる原因になります。
妊娠25週目には、子宮底長は23.5~29センチほどの長さになります。
子宮のてっぺんがおへそよりも高くなり、ここから羊水も増えていくことからお腹はさらに大きくなります。
そのため、子宮が他の臓器を圧迫して腸のあたりがうっ血してしまい、痔になる妊婦さんが増える時期です。
痔は「ホルモンバランスの変化によって腸の動きが鈍って便が固くなること」と、「大きなお腹によって腹圧は肛門にかかること」が原因です。
お腹の張りが頻繁に起こる!切迫早産に注意!
お腹が大きくなることで運動もしづらくなってきますが、出産に向けて、軽いウォーキングや階段の上り下りなどをして体力をつけていきましょう。
妊娠27週目の子宮底長は、24~33センチほどの長さになります。
この時期から胃痛や胸焼けを感じるようになり、1回の食事量が減る方が多くなります。
これは、赤ちゃんが大きくなることで子宮が胃を圧迫し、消化不良や胃酸の逆流を起こしやすくなっているためです。
逆流性胃腸炎にもなりやすく、妊娠中に症状が悪化すると産後も症状が続くことがあります。
つわりの時期同様に「よく噛んで食べる」「少しずつ分けて食べる」などの対策を行い、胃に負担をかけないようにしていきましょう。
妊娠27週目
暴飲暴食に走りやすい時期です。ケーキなど甘いものを妊娠中に食べること自体に問題はありません。
ですが、ケーキには糖質が多く含まれ、食べ過ぎると妊娠糖尿病のリスクが高まります。
妊娠中期頃は、5キロ程度の体重増加が望ましく、今後はさらに太りやすくなってしまうので、妊娠前から7kg以上体重が増えた方は、食欲をコントロールしながら体重を増やしすぎないように注意してくださいね。
出産時にしっかりと収縮できるよう準備を進めるため、妊娠6ヶ月以降は子宮が収縮しやすくなり、お腹の張りを感じる回数が増えます。多い日は1日に4~5回感じることもありますよ。
これは生理現象で、しばらく休むと自然におさまることがほとんどです。
ただし数時間経ってもお腹の張りがおさまらない、カチカチのまま不正出血があるなどの症状がある場合は、切迫早産の疑いがあります。
乳首がかゆい、痛い、黒ずむ
娠後期が近づくにしたがって、「もしかして前駆陣痛なのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、前駆陣痛は妊娠36週目以降の臨月に起こることが一般的で、まだ感じるには早い時期です。
診断結果によっては自宅安静や入院をお医者さんに告げられることになってしまうので、少しでもいつもと違う症状があれば、病院へ連絡しましょう。
安静にしていてもお腹が張り続け、10分間隔より短くなるときは特に注意してください。
いつもと違う症状を少しでも感じたときは、すぐにお医者さんの指示を仰ぎましょう!
妊娠7ヶ月の赤ちゃんの状態
妊娠中期を過ぎると、乳首のかゆみや痛み、黒ずみなどのトラブルを自覚する妊婦さんが増えます。
これらは、妊娠によるホルモンバランスの変化が原因の場合がほとんどで、生理的な現象です。
乳首は、女性にとってはデリケートな部分なので、トラブルがあると不安になってしまいますが、しっかりとケアをしながら過ごせば、産後は少しずつ元の状態に戻っていきますよ。
症状がひどい場合は、お医者さんに相談してくださいね。
妊娠7ヶ月の終わりには胎児の大きさは380~400ミリ、体重は800~1,250グラムに成長し、体重が1キロを超えます。
ただし、赤ちゃんが急成長する時期であることから、体格には個人差が大きい時期です。
お腹が大きくなるにつれ、うつぶせ寝など寝ているときの姿勢を変えづらくなることから、日に日に寝苦しさが増していきます。
そんなときは「シムスの体位」がおすすめです。この姿勢は、血液の循環がよくなり、リラックスすることができる姿勢です。
寝苦しいときや眠れないときはシムスの体位で
妊娠7ヶ月目の注意点
体の基本的な器官はほとんど完成し、筋肉が発達することで手を握る、体を伸縮させるといった複雑な動作ができるようになります。
また、前頭葉が大きくなり、脳が急成長するため、味覚や嗅覚といった五感が備わっていきます。
まばたきをしはじめるのもこの時期です。
カンジダ膣炎は早目に治しましょう!
体の左側が下になるように横向きに寝て、お腹に負担がかからない程度にうつぶせに近い体勢になるだけで、シムスの体位がとれますよ。
この姿勢がつらい場合は、クッションや抱き枕などでサポートすると楽になります。
ただし、右側を下にすると大静脈やリンパ管が圧迫され、かえって寝苦しくなってしまうので注意してください。
カンジダ膣炎とは、カンジダ真菌が体調の変化などで増殖して起こる感染症です。
妊娠中は膣内の環境が酸性からアルカリ性に変化するため、カンジダ真菌が増殖しやすい状態になっています。
妊娠中であればカンジダ膣炎にかかっていても胎児に影響はありません。
しかし、出産時も感染したままだと胎児に感染し、「鵞口瘡(がこうそう)が発生し、ミルクを飲む量が減る」「カンジダ皮膚炎を発症する」といった症状を引き起こす可能性があります。
症状が現れにくいのがカンジダ膣炎の特徴ですが、カッテージチーズのようなおりものや、外陰部に我慢できないほどのかゆみを感じた場合には早めに産婦人科を受診しましょう。
外陰部を清潔に保つことで予防できるので、通気性がよく清潔な下着を身につけるようにしましょう。
妊娠糖尿病に注意
妊娠中は、ホルモンバランスの変化によってインスリンの働きが悪くなる上に、胎児の分のブドウ糖が必要になることで、妊娠糖尿病にかかりやすくなっています。
妊娠糖尿病になると、早産や妊娠高血圧症候群、羊水過多症といった母体への影響や、巨大児や先天奇形、流産といった胎児への影響があります。
糖分の摂り過ぎに注意しながら、バランスのよい食事を心がけ、適度に体を動かすことで妊娠糖尿病を予防することができますよ。
妊娠線のお手入れを念入りに
妊娠線はお腹などの皮膚にできる赤紫色の線状斑のことで、妊娠によってお腹が大きくなり、皮膚が急に引っ張られることが原因でできます。
お腹以外にも下腹部、乳房、太もも、おしりなどの脂肪がつきやすい部分に現れます。
全くできない方もいれば、2~3本だけできる方、お腹や胸全体にできる方などできる量や場所には個人差があります。
胎児の大きさは妊娠27週で1,000グラム程度しかありませんが、ここから10週間ほどかけて2倍の大きさになり、子宮も胎児の大きさに合わせて一気に大きくなります。
そのため、妊娠27週以降は妊娠線ができやすくなるので、急激な体重増加に気をつけながら、オイルやローションで保湿し、予防していきましょう。
妊7ヶ月で妊娠中期が終わり、いよいよ妊娠後期に入ります。
これからの3ヶ月でさらにお腹は大きくなり、体は重くなっていきます。
赤ちゃんもママの声をお腹の中で毎日聞きながら、早く出会えることを楽しみにしているはずです。
元気に出産を迎えられるよう、体と心をいたわりながら、毎日を過ごしてくださいね。