産瘤の原因
産瘤に似たものに頭血腫がありますが、産瘤はむくみであるのに対し、頭血腫は頭蓋骨と骨膜の間の内出血です。頭血腫は触れるとゴムまりのような、なかに液体があるような感じがあり、押したあともくぼみが残らないことで産瘤との区別ができます。 サイズはピンポン玉から野球のボール大までと様々です。頭血腫は分娩の時に起こり、産瘤と違って、すぐにコブになることはありません。
産瘤と類似した病気
分娩時に赤ちゃんが狭い産道を通過する際、周囲からの圧迫によって先進部の皮下の軟部組織にリンパ液などの体液が溜まって浮腫(むくみ)が起こり、こぶ状に隆起したものです。赤ちゃんが産道を通過する時に強く圧迫されるため、うっ血や血漿(けっしょう)の滲出を生じて腫瘤(しゅりょう)状態となります。
多くの赤ちゃんが頭を先にして生まれてくるので、頭にできることが多いのですが、逆子など、違う体位で出てきた場合は臀部や足などにできます。コブ自体は大人の手のひらで覆える程度の大きさで、正常な部分の頭皮との境目が曖昧で分かりにくいこともあります。
指で押すとぶよぶよと軟らかく、押した跡にくぼみが残るのが特徴です。
産瘤ってなに?
上記した通り、産瘤も頭血腫も自然に吸収されるので、心配はいりません。産瘤や頭血腫が自然消失するまでは、感染を防ぐために、こぶ回りを清潔にしてあげましょう。ただし、頭血腫の場合は血液が体に吸収される際、赤血球が壊れるために黄疸(血液中にビリルビンという物質が増加し、全身が黄色っぽくなる症状)が強くなる場合もあります。生まれたばかりの赤ちゃんは、退院するまでの間に黄疸の検査(ほとんどの赤ちゃんに黄疸が見られますが、肝臓の疾患や大量の出血で黄疸が出てしまうことがあるため、自然な黄疸か病的な黄疸かどうかを区別するために行います。経皮的ビリルビン測定法と血清総ビリルビン測定法という2種類の検査方法があり、前者は赤ちゃんの皮膚の上から、後者は赤ちゃんの耳や足の裏から血液を採取して測定します。)を受けるので、この検査でひっかかってしまう可能性が高くなります。
産瘤について注意すること
産瘤は病的なものではなく、2~3日経つと中のリンパ液や体液が自然に体に吸収されるので、特に治療は必要ありません。頭血腫の場合も同じで、内出血が体に吸収されるか、腫れた部分が骨の一部となって腫れが引き、3~4ヶ月で自然消滅します。こぶ回りはあまり触らないようにして、赤ちゃんを見守ってあげましょう。
産瘤の治療法
お母さんが小柄だったり、赤ちゃんの頭が大きかったり、吸引分娩(陣痛だけでは出ない赤ちゃんを引っ張って分娩する方法)や鉗子分娩(トングのような専用の器具を使って赤ちゃんの頭を挟み、引っ張り出す応急処置)が原因で起こりやすいと言われており、100人に一人程度の割合で起こるそうです。頭にできた大きなコブを見て不安になるお母さんもいるかもしれませんが、病気などではなく、多くの場合は入院中に自然消滅するもので、赤ちゃん自身にも痛みはないので安心してくださいね。産瘤も頭血腫も、赤ちゃんが頑張ってお産を乗り切った結果なのです。
また、赤ちゃんはとてもデリケートなので、自己判断で手を施すことは絶対にしないでください。感染症を引き起こす恐れがあるため、原則的には針や注射器を刺して吸引するなどの処置は行いませんが、万が一退院時にも残っているようであれば、医師と相談して、これからのケアについて確認しましょう。