先天性食道閉鎖は出産後、病院で授乳開始後に異常が現れるため、すぐに診断されます。
近年では胎児超音波診断が発達し、羊水過多や胃が小さいなどの所見で、出生前に診断されるケースもあります。
生まれつき先天性食道閉鎖を持っている赤ちゃんは、嚥下困難がみられます。食道が閉鎖しているため、ミルクが食道を正常に通らず、気管に流れ込んでしまい、激しくむせる、口から泡状の唾液を出す、呼吸困難になる、顔が紫色になるチアノーゼ状態になるなどの症状があらわれます。症状に気づかずに放置してしまうと、肺炎や呼吸不全に陥ってしまい、最悪の場合命を落としかねません。異常に気付き、早期に治療を始めることが重要です。
先天性食道閉鎖の症状
先天性食道閉鎖症とは、生まれつき食道が繋がらず、途中で離断されたままの状態で生まれてくる病気のことを言います。赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいる、胎生4~7週頃に食道や気管の形成がなされるのですが、この胎生期に何らかの異常が生じてしまうと食道が閉鎖してしまいます。発生頻度は文献によって多少異なりますが、3000~5000例に1例とされています。
先天性食道閉鎖って?
先天性食道閉鎖はコイルアップという方法で診断することができます。赤ちゃんの鼻・口からカテーテルを挿入し、X線写真を撮ると食道で反転したカテーテルが映るというものです。
先天性食道閉鎖と診断された場合は、必ず手術が必要となります。
先天性食道閉鎖の診断
先天性食道閉鎖の詳しい原因は未だに分かっていません。赤ちゃんがお腹の中にいる胎生期に、気管と食道の基となる組織が分裂し、気管と食道を形成される際何らかの異常が生じて起こるのではと考えられています。妊娠中に羊水過多を指摘されることも多く、出生前に先天性食道閉鎖の診断をされます。
合併症を抱えているケースもあり、心臓、消化器官、脊椎の奇形、肺炎など、医師は他の症状がないか注意が必要となります。
先天性食道閉鎖の原因
先天性食道閉鎖の治療は、手術療法となります。手術の前には準備が必要とされ、まずは胃にチューブを入れ減圧し、胃から気管への逆流を防ぎます。食道の上下の距離が離れている時にはこのチューブから栄養を送り、赤ちゃんの体重を増加させ、それから手術を行います。
先天性食道閉鎖の治療
A型:食道閉鎖のみで合併症状がない
B型:上部食道気管瘻と下部食道の無形成か盲端であるもの
C型:上部食道の盲端と下部食道気管瘻のあるもの
D型:上部食道気管瘻と下部食道気管瘻と、両者の間で食道無形成であるもの
E型:食道気管瘻のみで食道閉鎖症のないもの
先天性食道閉鎖には、気管との間に瘻孔 が見られることがあり、その繋がり方の特徴からA~Eの5タイプに分類されます。C型が一番多く、8割以上を占めると言われており、緊急手術が必要な代表的な新生児外科疾患です。
先天性食道閉鎖の分類
手術は食道と気管を切り離し、途切れた上下の食道をつなぎます。食道の上下の距離が離れており、すぐに繋げない場合には、気管と切り落とし、胃瘻(いろう、胃に直接栄養を入れるための小さな口です)を作ってからミルクを注入し、小腸や結腸の一部を使った代用の食道を使ったり、食道延長術を行った後に繋ぎます。
出生前の診断で先天性食道閉鎖を疑われた場合は、新生児外科治療が可能な施設での分娩が安心です。先天性食道閉鎖を持って生まれてきた赤ちゃんは、出産直後から症状が出るので、異変に気付いたらすぐに医師に相談しましょう。