2016.06.08 Wed 更新

赤ちゃん・新生児によくある核黄疸ってどんな病気?その原因と治療法について

赤ちゃんの怖い病気の一つに、「核黄疸」という病気があります。「黄疸(おうだん)」自体は生理的な症状で、生まれてくる赤ちゃんの90%が発症していると言われていますが、あまりにも黄疸がひどかったり長期化してしまうと黄疸の原因である血液中のビリルビンが脳に蓄積されてしまいます。今回はそんな核黄疸についてご紹介します。

新生児溶血性黄疸

上記したように、黄疸の原因となるビリルビンは徐々に処理されていき、肌の黄色も落ち着いていきます。しかし、何らかの理由でビリルビン値の高い状態が続いてしまうと、脳内の大脳基底核という部位にビリルビンが入り込み、溜まってしまいます。脳内のビリルビンが増えると、神経細胞を傷つけ様々な病気を引き起こすようになります。この状態を「核黄疸」と言います。
ビリルビン値を急激に高めてしまう原因として、以下の病気が考えられます。

核黄疸の原因

赤ちゃんが生まれると、ほとんどの子に「新生児黄疸(おうだん)」があらわれます。発症率は90%と言われており、肌や白目の部分が黄色っぽくなるといった症状がでますが、生理現象なので自然と治ります。
赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる間は、効率よく酸素や二酸化炭素を運ぶために、血液中の赤血球の数が大人に比べて多くなっているのです。しかし、出生後呼吸を始めると、不要になってしまった赤血球が大量に分解され、この時に多量の「ビリルビン」という物質が生成されます。このビリルビンは肝臓で処理されるのですが、未熟な新生児の体ではうまく処理しきれないため、一時的にビリルビン値が高くなってしまうのです。ビリルビン値が高いことで、黄疸が体の表面に現れるようになります。大半の赤ちゃんには生後2~3日で黄疸が認められ、生後4~5日でピークに達します。生後1~2週間を過ぎると黄疸は自然に消えていきます。このように通常の黄疸は何の心配もいらないのですが、中には「核黄疸」という危険な病気を引き起こすことがあります。

核黄疸って?

赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる間、胎盤から送られる血液が過剰になったり、胎盤機能に障害が起こってしまうと、胎児の血液中の赤血球が増えた状態になります。多血症の状態で生まれてきた赤ちゃんは過剰にビリルビンが作られます。

多血症

肝臓で作られた胆汁は、胆嚢に溜められます。食べ物を食べたときに胆道から腸へと送られ、脂肪の消化・吸収に作用します。しかし、この胆道が先天的な異常で詰まり、胆汁が腸に送られなくなる病気が先天性胆道閉鎖症です。先天性胆道閉鎖症になってしまうと、肝臓で処理されたビリルビンが胆汁として腸に排出できなくなるので、血液中のビリルビン値が上昇します。

先天性胆道閉鎖症

血液型不適合妊娠(ABO式、Rh式)や赤血球形態異常、お母さんの病気によるもの、薬剤や感染によるものなどが原因で赤ちゃんの血中の赤血球が破壊され、ビリルビン値が上昇する病気です。
特にお母さんと胎児の血液型が異なるために起こる血液型不適合妊娠が原因として最も多く、お母さんの抗体が赤ちゃんの体内に移行することで胎児の赤血球が破壊されて大量のビリルビンが生み出され、黄疸が現れます。

核黄疸の治療法は?

上記したように黄疸のほとんどは新生児黄疸ですが、油断せずに核黄疸のような症状が現れたときはすぐに病院を受診しましょう。

核黄疸が発症してからの3日間は、母乳をあまり飲まない、常に眠そうにしている、体がぐったりしているなどの症状がみられます。これらは、核黄疸によって起こる意識障害で、3日を過ぎると
発熱やけいれんなどが現れ、1週間以上過ぎると筋肉に力が入らなくなりグッタリとした状態になります。初期段階で気づければ早期回復が見込めますが、この段階になると、脳性麻痺のような後遺症が出る可能性が高くなるといわれています。

核黄疸の症状

核黄疸になる前にビリルビンの値を下げる治療が行われます。日光や蛍光灯などの光に当たると、血液中のビリルビンの濃度が減少することが分かっているので、青い光や緑色の光を当てる光線療法が行われます。ほとんどの場合は光線療法で治りますが、それでも値が下がらない場合には体内の血液をすべて置き換える「交換輸血」が行われます。

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