2016.06.10 Fri 更新

呼吸窮迫症候群に赤ちゃん・新生児もある可能性が!その原因と治療法を詳しく紹介

生まれてくる赤ちゃんの病気に新生児呼吸窮迫症候群というものがあります。新生児呼吸窮迫症候群を発症すると、呼吸をするために必要な物質をつくり出すことができず、呼吸困難に陥ってしまいます。34週未満で生まれてきた赤ちゃんにはこの症状が現れていることが多く、最悪の場合死亡してしまうことがあるとても怖い病気です。

出生後すぐに、以下のような呼吸障害がみられます。

・浅く速い呼吸(しぼんだ肺胞のせいで吸い込める空気の量が少なくなる)

・チアノーゼ(酸素が少なくなり低酸素血症を起こし、皮膚の色が青白くなる)

・陥没呼吸(息を吸い込む時に肋骨の間や胸骨の下がへこむ)
・努力性呼吸(普通の呼吸に使う横隔膜や肋間筋以外の筋肉を使って呼吸する)
・呻吟(しんぎん)(息を吐く時にうなり声を出す)
・呼吸時に喉がなる(肺胞がしぼむのを防ごうと声門を狭めて気道内の圧力を高めようとする)

新生児呼吸窮迫症候群の症状

新生児呼吸窮迫症候群は、赤ちゃんの肺機能が未熟なために起こる呼吸器系の病気です。「肺サーファクタント(肺界面活性物質)」と呼ばれる物質の生産機能が未熟なために起こります。この肺サーファクタントには、肺胞内側の表面を覆って表面張力を減少させ、肺胞が拡張した状態を保つ役割がありますが、新生児呼吸窮迫症候群になると肺サーファクタントが十分に作られないために肺胞の拡張した状態を保てなくなり、うまく呼吸ができなくなります。

新生児呼吸窮迫症候群とは?

・1,500g以下の低出生体重児
・新生児呼吸窮迫症候群で生まれてきた兄弟がいる
・胎便吸引症候群を発症して生まれてきた
・仮死になり強い低酸素や低血圧の状態に陥った
・双子や三つ子などの多胎妊娠
・陣痛前の帝王切開による分娩
・お母さんが糖尿病を患っている

早産以外で考えられる原因

新生児呼吸窮迫症候群の原因のほとんどが、在胎34週未満で生まれた場合の早産です。表面活性物質である肺サーファクタントを作り出す機能が完成するのは妊娠34週頃だと言われているので、それ以前に生まれてきた赤ちゃんには十分な肺サーファクタントの生産機能が備わっていません。
また、満期で生まれた赤ちゃんでも発症することがあり、以下の原因が考えられます。

新生児呼吸窮迫症候群の原因

新生児呼吸窮迫症候群は時間がたつにつれ、呼吸のために使っている筋肉が疲労し衰弱していきます。肺の中のわずかなサーファクタントを使い果たしてさらに多くの肺胞がつぶれるので、呼吸困難はさらに重くなります。
いずれは脳や、その他の臓器が酸素不足となり、最悪の場合死亡する危険性があるので新生児呼吸窮迫症候群と診断されるとすぐに治療が開始されます。

人工呼吸器を使用し、一時的な呼吸補助をしながら呼吸チューブを通して人工肺サーファクタントを気管内に投与していきます。天然のサーファクタントと同じように働く、人工肺サーファクタントによって少しずつ自力で呼吸ができるようになり、多くは2~3日で改善します。早い段階でしっかり治療されていれば後遺症が出ることはほとんどありません。
症状が軽度の場合は、酸素吸入のみで済む場合があります。

新生児呼吸窮迫症候群の治療

症状、肺サーファクタントの分泌、血液中酸素濃度、胸部X線検査の結果を比べて診断します。
羊水や胃液などに混入した肺サーファクタントの状態を調べ、肺サーファクタントが未熟だと診断された場合には早急に治療を開始します。
胸部X線検査には「肺胞の拡張不全」、「空気の入っていない肺胞が黒く見える」、「気管支透亮像」、「すりガラス状陰影」の所見が見られるたます。

新生児呼吸窮迫症候群の診断

新生児呼吸窮迫症候群の予防

妊娠34週目を過ぎれば新生児呼吸窮迫症候群になる可能性が低くなるため、出産を安全に遅らせ、早産を防ぐことが一番の予防法です。もし早産が避けられない場合は、お母さんにコルチコステロイド薬(ベタメタゾン)を投与することで薬が胎児に吸収され、サーファクタントの産生を促進します。この薬を開始してから48時間以内に、胎児の肺は出生後に呼吸窮迫症候群を起こさない、あるいは起こしても比較的軽度ですむ段階にまで成熟します。

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