乳児ボツリヌス症の原因
じつは、ボツリヌス菌は、大人でも激しい食中毒症状を引き起こす原因菌です。
既に発育・増殖した菌を摂取すると大人でもボツリヌス食中毒を発症します。
はちみつなどの食べ物に含まれているのはボツリヌス菌が発育する前の芽胞の状態です。
1歳を過ぎた頃には既に消化器官が発達しており腸内細菌が整っているため、芽胞を摂取したところで腸内で繁殖することはないのです。
何故1歳未満の赤ちゃんだけがボツリヌス症になるの?
乳児ボツリヌス症とは、1歳未満の赤ちゃんが、はちみつなどの食品に混入したボツリヌス菌の芽胞を食べることで発症する感染症です。
芽胞は菌の種のようなもので、赤ちゃんの腸の中に入ると、発育・増殖してボツリヌス毒素を出します。
致死率は1~3%といわれています。
生後6ヵ月未満の乳児に最も多く起こるといわれており、1歳を過ぎると発症しなくなります。
乳児ボツリヌス症とは?
乳児ボツリヌス症の症状
加工食品に材料として使われている場合もあるので、乳児に与えるものは原材料をチェックする癖をつけましょう。
ボツリヌス菌は熱に強く、加熱調理であってもなかなか死滅させることはできません。
・はちみつ
・黒糖
・黒砂糖
・野菜ジュース
・コーンシロップ
乳児ボツリヌス症は、ボツリヌス菌の芽胞が混入した食品を食べることで発症します。
以下の食品はボツリヌス菌の芽胞が混入している可能性があるため、1歳未満の乳児に与えることは避けてください。
乳児ボツリヌス症の検査法
症状が悪化すると呼吸筋が麻痺して呼吸不全に陥り、最悪の場合、死に至ることもあります。
・哺乳力が弱くなる
・元気がない、泣き声が弱々しい
・表情がなくなる
・首や手足がぐったりする
・よだれがふえる(口の筋肉がゆるむため)
乳児ボツリヌス症は潜伏期間が3日~1ヵ月ほどあり、発症した当初は原因がわからないことがあります。
発症すると、筋肉が左右対称に麻痺を起こし、身体を思うように動かせなくなります。
具体的には、赤ちゃんの90%が最初の症状として便秘になります。
便秘以外には以下のような症状が見られます・
乳児ボツリヌス症は、赤ちゃんの便や血液のなかにボツリヌス毒素があるかどうかを見て診断します。
しかし、乳児ボツリヌス症の赤ちゃんは便秘になることが多いため、浣腸を行ったり、綿棒で肛門をぬぐったりして、ボツリヌス毒素の有無を調べることもあります。
授乳中のママははちみつを食べていいの?
乳児ボツリヌス症の治療は、呼吸管理や栄養補給などの対症療法によって行われます。
大人がボツリヌス食中毒にかかった場合に行われる抗毒素治療や抗生剤による治療は、安全性、致死率の低さ、身体への負担を考えて、赤ちゃんには行わないのが一般的です。
乳児ボツリヌス症は病院できちんと治療を受ければ、後遺症もなく完治することがほとんどです。
ただし、感染した赤ちゃんのうんちには、長期間に渡ってボツリヌス菌が混入することがあるので、二次感染には十分注意してください。
乳児ボツリヌス症の治療法
「ママがはちみつを食べると、母乳を通して赤ちゃんが乳児ボツリヌス症になるのでは?」と思うかもしれませんが、厚生労働省はママが食べることを控えるようにとはしていないので、授乳中でもはちみつを食べることはできます。
ただし、赤ちゃんが間違って口にしないように、はちみつの容器は赤ちゃんの手が届かないところで管理してくださいね。