2016.04.01 Fri 更新

流産の原因にもなってしまう…頸管無力症ってどんな病気?その原因と治療法について

数百人に1人という低い割合ですが、誰にでも起きる可能性がある子宮頚管無力症。切迫流産や切迫早産の原因ともなる病気ですが、しっかりと状態を観察・管理することで悪化を防ぎ早産や流産を防ぐことができます。そこで、頸管無力症の原因と治療法についてまとめましたので、参考にしてみてください。

かつては、純粋な頸管無力症は、最初は無症状で、子宮口が開いて少量の子宮出血があって初めて見つかっていました。今では、経腟(けいちつ)超音波検査で妊娠15〜20週に頸管を観察すれば、内子宮口から開き始めて頸管が短くなっている人が見つかることがあります。
そのままにしておくと、外子宮口から胎児の入る卵膜の袋(胎胞)が出てきてしまいます。
一般的に、最初の妊娠で症状がみられた人は、次の妊娠でも症状が出ます。軽度の症状は、数%の人にみられます。

症状の現れかた

通常、流・早産の徴候(不正出血や陣痛様の腹痛など)を自覚しないままに子宮口が開大してしまい、胎児娩出に至ってしまいます。頸管が開大してきている場合であれば内診や経膣式超音波で頸管無力症を診断することはできますが、たいていは病態が進行してきてから発見されることが多く、これを未然に予防することはまず不可能と言って良いでしょう。
頸管無力症の原因としては、人工妊娠中絶により頸管の裂傷が瘢痕化すること、円錐切除術後などがありますが、原因不明である場合もかなり多いようです。

妊娠中は通常子宮頸管はしっかりと閉じていて、子宮の中の胎児を保持しているのですが、まれにこの部分がゆるくて開きやすく、流産や早産になってしまう場合があります。(子宮頸管というのは子宮の出口にあたる部分です)
このような病態を頸管無力症(頸管不全症)といい、妊娠初・中期の習慣性流産の一つの要因となります。

頸管無力症とは

治療の方法

子宮の収縮により子宮口が開く切迫早産(せっぱくそうざん)と、頸管無力症は別の病気ですが、開いてくれば収縮も起こるので、両方の要素があるのが普通です。
収縮がなくて開いてきたものが、純粋な頸管無力症です。開けば内診でもわかります。

検査と診断

手術をしても絶対安心というわけではないので、妊婦検診の度に縛った部分が緩んでないかをこまめにチェックしていきます。
そして、大体妊娠37週目前後で抜糸して、自然に赤ちゃんが降りてきて陣痛が来るのを待って通常分娩を迎えます。

手術したらしばらく安静にし、その日のうちに帰宅して普通の生活に戻れる場合がほとんですが、中にはしばらく入院して安静生活を送るという人もいます。
手術の翌日はまだ陰部に痛みがありますが、3日目前後からは痛みも引いて日常生活が送れるようになります。

一方マクドナルド法は、手術の方法も簡単で万一陣痛が来てしまっても、すぐに抜糸して経膣分娩へと以降できるのが利点と言えます。
手術はいずれも背中から注射する脊髄麻酔で行われ、下半身だけ麻酔が効いている状態なので手術中は意識はあります。
脊髄麻酔の場合、母体の全身をめぐる麻酔の量はごくわずかです。
胎盤を通して薬が赤ちゃんに行き渡ることもないため、麻酔といっても赤ちゃんへの影響もないため、心配しなくても大丈夫です。

手術方法に、子宮に近い子宮頚管の上部を縫うシロッカー法と膣に近い子宮頚管の下部を縫うマクドナルド法の2つの方法があります。
シロッカー法はより子宮に近いところをしっかり閉じるので、赤ちゃんが出てこないようにしっかり子宮内にとどめておける高い効果が期待されます。
しかし、抜糸しにくいといったデメリットもあります。

子宮口が開きかけているのが見つかったり、前の妊娠で頸管無力症のため流産になっていたりする時は、早めに頸管をしばる手術(頸管縫縮術(けいかんほうしゅくじゅつ))を行います。

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