2016.04.12 Tue 更新

甲状腺機能亢進症と妊活について。その症状と原因対策について

妊娠初期、8~15週頃には一過性の甲状腺機能亢進症になることがあります。つわりの強い人に多くみられ、もともと甲状腺に全く異常がない人でも発症します。そこで、その原因と対策、予防法についてご紹介いたしますので参考にして元気な赤ちゃんを迎えられるようにしましょう。

妊娠初期の甲状腺機能亢進症の原因

・心臓がドキドキする。(動悸)
・汗をたくさんかく。(多汗)
・手が震える
・疲れやすい
・イライラする
・目つきが変わる・眼球が飛び出る
・血圧上昇
・温かい皮膚
・甲状腺が腫れる

主な症状

甲状腺機能に異常がある人は甲状腺ホルモンの量を適切に調整することができなくなります。
甲状腺機能亢進症はバセドウ病とも呼ばれ、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されている状態です。
女性は、約10人に1人の頻度で、甲状腺疾患が見られます。
20代~30代の若い女性に多い病気で、国内には数万人の患者さんがいると云われています。

甲状腺機能亢進症とは?

妊娠初期の血液検査で甲状腺ホルモンが高い時には、それが妊娠期一過性甲状腺機能亢進症なのかバセドウ病なのかまず正しく診断し、そしてその診断された病気に対して治療が必要かどうかを判断しなければなりません。
妊娠初期にみられる甲状腺機能亢進症は、多くは一時的なもので妊娠週数が進む中で症状は治まってきます。しかし、甲状腺機能亢進の症状が重い場合には無機ヨード剤などを用いた治療が必要なこともあります。

妊娠女性に甲状腺疾患がある場合、甲状腺専門医の診察を受けることが原則で、産婦人科医と甲状腺専門医との連携が不可欠です。

妊娠初期の甲状腺機能亢進症の対処法

妊娠すると胎盤から妊娠初期からヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が分泌されます。hCGが甲状腺を刺激することで甲状腺ホルモンが増え、甲状腺機能が亢進することがあり、この状態を妊娠性一過性甲状腺機能亢進症といいます。
治療をおこなわないと、病気自体の影響で流産や妊娠中毒を生じる可能性があります。

薬物療法

甲状腺機能亢進症の治療としては、薬物療法、手術療法があります

妊娠中の甲状腺機能亢進症の治療法

もともとバセドウ病がある場合、症状は妊娠に伴い落ち着くといわれています。
薬を内服している人では薬の必要量が減ります。しかし、分娩後に再び悪化することが多く、また、分娩時などに高度の甲状腺中毒状態になることがあるので注意が必要です。

妊娠前からの甲状腺機能亢進症が持続した場合

抗甲状腺剤チアマゾール(メルカゾール)、プロピルチオウラシル(チウラジール、プロパジール)の2種類があります。
チウラジールとプロパジールは安全に授乳もできます。
メルカゾールは母乳に出てくる量がこれより多いので赤ちゃんの甲状腺が影響を受ける可能性もあります。そこで授乳を希望する場合は、チウラジールかプロパジールにしておく方が良いとされます。

赤ちゃんへの影響

抗甲状腺剤が服用できない場合、大きな甲状腺腫をもった重症の場合、悪性腫瘍が合併している場合などには妊娠中期に甲状腺亜全摘出術を行うことがあります。

手術

生まれた赤ちゃんに甲状腺機能亢進症がおこることもあるため、多くの病院で産科と小児科が連携した管理を行っています。
発症はバセドウ病の母体の1~2%程度です。頻脈、発汗、多呼吸、振戦、易刺激性、眼球突出、甲状腺腫、心不全、多軌下痢などの症状が出現します。

一方で、甲状腺ホルモンは子どもの成長に重要なホルモンです。そのため、すべての新生児に対し甲状腺機能低下症のスクリーニングが行われています。

また、奇形の率は、抗甲状腺剤の正しい使い方をすれば健常の妊婦さんと全く変わりません。

甲状腺機能亢進症は治療しないと流産、早産、妊娠性高血圧を生じやすくなります。出産を予定している方は、必ず担当医と相談してください。

まとめ

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