最近は、腹腔鏡手術が行われることも多くなりました。
腹腔鏡手術は、開腹手術に比べて傷が小さくてすみ、傷跡も目立ちません。
一般に、嚢腫に悪性の疑いがまったくなければ、卵巣は残して嚢腫だけをくりぬく手術をします。
嚢腫を取っても卵巣の正常部分が残っていれば、卵巣の機能は残り、妊娠やホルモン分泌にも影響はありません。
卵巣の腫れは、内診や触診、超音波検査などによってわかります。
超音波検査で、卵巣腫瘍の大きさや内容物の種類などかなりの情報がえられますが、さらに血液検査で良性か悪性かをしぼりこんでいきます。
超音波検査などであきらかに良性が予想され、嚢腫が小さい場合には経過を観察します。
卵巣嚢腫と思っても経過観察をするうちに、自然に消失してしまうことがあるからです。
治療方法
卵巣にできる腫瘍は大きく分けると良性の「卵巣嚢腫」と、悪性の疑いが強い「充実性腫瘍」とに分けられます。
このうち、もっとも多く見られるのが卵巣嚢腫で、卵巣腫瘍全体の約8割を占めています。
多くは卵巣の片側に発生しますが、両側に発生することもあります。10代、20代と若い世代にもよくみられます。
卵巣嚢腫とは?
妊娠中の手術・赤ちゃんへの影響
突然腹部に激痛が走り、ショック状態にさえ陥ることもあります。卵巣に腫瘍ができて大きくなると、体の動きによって茎(じん帯)の根元の部分がくるりとねじれてしまうのです。
この場合は、卵巣ごと摘出する緊急手術が必要になります。
茎捻転は激しい運動や体位を変えたときなどに起こりやすく、また、妊娠期間中では、妊娠中期と分娩時や産褥期に起こりやすいことが知られています。
ただし、茎捻転を起こした場合は、ねじれた部分で血流障害起こして組織が死んでしまうために、卵巣を残すことはできません。
茎捻転は、なんらかのきっかけで、卵巣が根元からねじれてしまった状態をいいます。
また、たまたま婦人科や内科で超音波検査を受けたときや、妊娠時の超音波検査で見つかることも多いものです。
茎捻転を起こして救急車で病院に運ばれて、はじめて卵巣のう腫に気づくケースもあります。
早期発見・治療のためにも10代のうちからぜひ婦人科検診を受けて、卵巣の腫れがないかを超音波検査でチェックしてみてくださいね。
卵巣嚢腫は通常、大きくならないとなかなか症状があらわれない病気です。
症状が現れるのは、嚢腫が8~10㎝ほどの大きさになってからです。
卵巣が握りこぶしほどの大きさになると、おなかがせり出してスカートがきつくなったり、おなかが張ったようになったり、下腹部にしこりが触れるようになります。
卵巣嚢腫は見つかりにくい病気!
また妊娠後期になると子宮が大きくなるため、卵巣が骨盤の奥に入ってしまい手術がしにくくなります。
さらに子宮が大きくなるときに、卵巣がひっぱられて茎捻転を起こす危険もでてきます。
そのため、手術を行う場合には妊娠14週~16週くらいに手術をするのが一般的です。
この場合は、腹腔鏡手術は行えませんから、開腹手術になります。
妊娠中に卵巣嚢腫が見つかる場合もあります。
基本的に妊娠中は手術を行いませんが、嚢腫が5~6cm以上ある場合は茎捻転を起こすことがあるので、やむなく妊娠中期に手術をすることがあります。
妊娠初期は胎盤がまだ不安定なので、流産につながるおそれがあり、麻酔をかけることができません。