2016.04.21 Thu 更新

ヘルプ症候群って?妊娠中のこの病気の原因と症状、治療法について

「ヘルプ症候群」って聞き慣れない病気ですね。 妊娠末期から産褥期(産んだ後)に発症するといわれる、2万人に1人が発症するという大変稀な病気です。しかし、母子ともに命の危機にさらされる事もある大変危険な病気なのです。 今回はそんな知名度の低い「ヘルプ症候群」についてご紹介します。

「溶血」とは、何らかの原因で、血管の中で赤血球が破壊されることです。
溶血性貧血は、この溶血が原因で起こります。
溶血が起こると、血液内でビリルビンとが増加し、血小板が減少します。
ビリルビンと乳酸脱水素酵素が増えると、肝機能障害の可能性が高いです。

溶血(Hemolysis)

ヘルプ症候群は、「溶血(Hemolysis)」「肝酵素の上昇(elevated liver enzyme)」「血小板減少(low platelets)」の3つの症状を発症します。
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の患者さんに多く発生すると言われており、適切な治療を受けなければ母子ともに死亡率が3割と言われる恐ろしい病気です。
DIC、常位胎盤早期剥離、腎不全、肺水腫など、命に関わる合併症を伴うケースもあります。

ヘルプ症候群の「ヘルプ」は「たすけて(HELP)」だと思われがちですが、正しくは、Lが一つ多い「HELLP症候群」と表記されます。
この名前はヘルプ症候群の症状の頭文字から名付けられました。

ヘルプ症候群とは?

血液を固める止血作用がある血小板が、減少していく症状です。
血小板の数が低下すると、注射針が刺さったような小さなキズでも出血が止まらなくなります。
血小板が減少した状態では、出血多量の危険があり、大変危険です。

血小板減少(low platelets)

肝酵素が上昇すると、肝臓が貧血状態になります。
そして、肝臓機能に障害が起こります。

肝酵素の上昇(elevated liver enzyme)

主な症状は「胃の周り(みぞおちあたり)等上腹部の痛み」「強い疲労感」「継続する吐き気と不快感」「嘔吐」です。
ヘルプ症候群の患者さんのほとんどは「上腹部の痛み」を訴えています。
他にも頭痛や肩こり、浮腫みや黄疸に食欲不振、視覚障害等があるそうです。
ですが、この病気特有の症状と言うものは悪化するまででてこないので、診断が難しいとされています。

症状について

ですが、ヘルプ症候群を発症した患者さんの90%が「妊娠高血圧症候群」でした。
妊娠高血圧症候群を予防する事が、間接的にHELLP症候群の予防にも繋がっているのかもしれませんね。

原因は不明です。
何が原因なのか全く分かっていませんが、発症する人には1つ大きな特徴があります。
それは、「妊娠高血圧症候群との併発が非常に多い」というところです。
妊娠高血圧症候群の患者さん、みんながヘルプ症候群になるというわけではありません。
妊娠高血圧症候群じゃない人でも発症しています。

原因は?

急性妊娠脂肪肝とヘルプ症候群の違い

治療法は?

急性妊娠脂肪肝とは、何らかの原因で肝臓に脂肪が蓄積してしまう恐ろしい病気です。
場合によっては母子の命に関わる危険な病気です。
この二つの病気の違いは、「減少する血小板の程度」と言われています。
急性妊娠脂肪肝は、発症してしまった場合、妊娠を終了させることが一番の治療方法です。
緊急で出産をするという治療を行います。

ヘルプ症候群は、「急性妊娠脂肪肝」という病気と症状が大変似ています。
ですが、対処方法や注意するべきポイントは違うので、発症した場合は迅速で適切な処置が必要です。

治療は基本的に妊娠高血圧症候群と同じで妊娠の終了、つまり、「緊急出産」です。
ですが、ヘルプ症候群は妊娠高血圧症候群と違い、産褥期にも症状が出現することがあります。
少しでもヘルプ症候群の可能性があるのなら、分娩後も気をつけていないといけません。

診断が下されると、帝王切開術を選択することが多いです。
ですが、その場合、血小板の減少等があるため血小板輸血が必要となることがほとんどです。

全ての妊婦に「絶対に知っておいて欲しい病気」のひとつであるヘルプ症候群。
ママと赤ちゃんの命を奪いかねない恐ろしい病気です。
身体の不調は、できるだけ早期にかかりつけの産婦人科を受診し、早期に治療できるものは治療しましょう。
この早期に受診することで対処できるものがあります。
赤ちゃん、そして自分のためにも無理せず、産婦人科医で相談しましょう。

まだ週数が早く、胎児が生育限界ラインに達していない等の状態であれば、できるだけの妊娠継続を続けないといけません。
この場合は、入院や輸血、投薬等を行い、赤ちゃんを胎内にとどめながら様子を見たりします。

ランキング

ページトップへ