ひどい時には、痙攣や手足の硬直を起こす事があり、さらに重症の場合には、脳性麻痺や知的障害などの中枢神経系の後遺症が残ることもあります。
出血は頭蓋骨の中で起こるため、出血量が少ない場合には外観的な異状はみられません。時間が経過して出血量が増加したり、血腫が形成されると、脳が圧迫され、全身が青白くなる、呼吸が止まる、泣き声が甲高い、目つきがおかしい、後ろに仰け反る、ひどく機嫌が悪い、ぐったりしている、頭痛や嘔吐が起きる、ミルクの飲みが悪い、意識がなくなる、などの症状があらわれます。早ければ、出血から数時間以内でこれらの症状が見られます。
また、特にくも膜下出血や脳室内出血の場合、数日から数週間の後に大泉門(髪の生え際より少し上のあたりの位置で、ぷくっと膨らみ、ぶよぶよした感触の菱形の場所)が腫れ、脳脊髄液が頭の内側で過剰に留まる、水頭症を発症することもあります。
その場合、頭囲が標準を越えて大きくなる、ミルクを飲まない、吐く、呼吸が止まるなどの症状があらわれます。
頭蓋内出血の症状
頭蓋内出血とは、頭蓋骨の中で出血が起こったものです。出血が起こる場所によって、くも膜下出血、硬膜外出血、硬膜下出血、脳室内出血などに分類されます。主に頭部への衝撃などによって起こります。症状は出血カ所や出血の量によって違いがあるのが特徴で、ほとんどは出生直後から2~3日以内に起こります。
頭蓋内出血って
難産でなかなか産道を通れない場合には、脳に外から力が加わり、脳の表面に近い硬膜下、硬膜外、脳実質に出血が起きることが多くあります。血腫による圧迫と脳挫傷のため、頭蓋骨の内側の圧が高まり、激しい頭痛、嘔吐、意識障害などが認められます。
外傷性頭蓋内出血
赤ちゃんの脳は血流が豊富であり、血管も未熟です。血液凝固機能も成熟していないので、成人に比べると頭蓋内出血が起こりやすいといえます。もともと出血を起こしやすい状態といえる赤ちゃんに、分娩時に外から力が加わったり、仮死状態で生まれた際に血液中の酸素不足などが起こると、容易に頭蓋内出血を起こしてしまいます。
頭蓋内出血の原因
血腫の大きさや症状の程度によって、開頭血腫除去術が行われますが、頭蓋内のどの場所からの出血であっても症状がなければ経過観察し、自然に吸収されるのを待ちます。症状がある場合、硬膜外出血、硬膜下出血と一部の脳実質内出血では血腫を取り除く手術が行います。脳室内出血、上衣下出血では手術は行わず、けいれんの治療、頭蓋内圧が上昇するのを防ぐ、呼吸の循環管理などの対症療法を行います。くも膜下出血も通常は予後が良いため、手術は行わずに対症療法を行います。
頭蓋内出血の治療
先天的に血液凝固機能の障害がある赤ちゃんでは、より出血が起こりやすくなります。 脳内の成熟の度合いによっても、出血部位は多少異なってきます。予定より早く生まれてきた早産の赤ちゃんでは脳室内出血や上衣下出血が多く、予定通り生まれてきた赤ちゃんでは硬膜外、硬膜下、脳実質の出血が比較的多くみられます。
未熟児の場合は、出産のときに脳が低酸素状態になると、脳室内、上衣下に出血が起こることが多いようです。
出生後の呼吸障害や循環障害などが加わって出血が起こります。
低酸素性の頭蓋内出血
頭蓋内出血に気を付けよう
新生児の頭蓋内出血は、出生後の2~3日の間に頭蓋内出血を起こす可能性があるため、お母さんや医師など、周りの大人が注意深く見守り、早期発見ですみやかに治療を開始しなければなりません。 症状が強くなればなるほど、脳性麻痺、知能障害、てんかんなどの後遺症をもたらしやすくなるため、おかしいなと思ったら、早めに医師の診察を受けましょう。