以上のような生理的な高ビリルビン血症が原因の場合は何の問題もありませんが、何らかの病気が原因でビリルビン値が高くなる場合があるので注意が必要です。考えられる病気として、ビリルビンが過剰にできる「溶血性黄疸」、肝臓のビリルビン処理機能が弱いために起こる「新生児肝炎症候群」、胆汁の排泄がうまくいかない「先天性胆道閉鎖症」、血液中に菌が増殖してしまう「敗血症」や閉鎖性出血(頭蓋内出血、頭血腫)、多血症、感染症、消化管通過障害など多岐に渡ります。
生理的な高ビリルビン血症の発症率は90%以上と言われており、ほとんどの新生児に起こります。赤ちゃんがお腹の中にいる間、お母さんから運ばれてくる酸素や二酸化炭素を効率よく運ぶために、血液中の赤血球の数が大人に比べ多くなっています。出生後肺で呼吸をするようになると、大量にあった赤血球が不要になってしまうため、徐々に分解されていきます。このときに大量のビリルビンが作られ、未熟な新生児の肝臓ではビリルビンの処理が追いつけないために、一時的にビリルビン値が高くなってしまうのです。ビリルビン値は生後3~4日でピークを迎え、だんだんと下降していきます。それに伴い、黄疸も徐々に消えていきます。
また、母乳のみで育てている場合にもビリルビン値が上昇し、黄疸が現れることがあります。母乳には女性ホルモンが多く含まれており、この女性ホルモンが赤ちゃんの肝臓の機能を弱めてしまうために黄疸が長引くことがありますが1~2か月ほど過ぎれば自然と治まります。
高ビリルビン血症の原因
高ビリルビン血症は、血液中のビリルビンという物質の値が上昇している状態です。ビリルビンは赤血球に含まれるヘモグロビンが、脾臓のマクロファージにより分解されたときに出る物質です。通常ビリルビンは肝臓で分解されて便や尿と一緒に体外に排出されるのですが、何らかの理由で体内に残ってしまった場合に高ビリルビン血症となってしまいます。
ビリルビンの適正値は出生時の体の大きさや健康状態によって異なりますが、血清ビリルビンの測定で診断されます。
ビリルビンは黄色い色素をもっているため、高ビリルビン血症になると、肌や白目の部分が黄色っぽくなる「黄疸」という症状が現れます。
高ビリルビン血症とは
高ビリルビン血症の治療
赤ちゃんが生まれたら、病院では「ミノルタ黄疸計」を使ってビリルビン値を測定します。皮膚の上から簡単に測定できる機械で、ある一定の値を超えた場合に血液検査で血液中のビリルビン値を測定します。
高ビリルビン血症の検査
高ビリルビン血症になると、目に見える症状として黄疸が現れます。上記したように肌や白目の部分が黄色っぽくなり、茶色の泡立ったおしっこをしたり、白いウンチをすることがあります。
新生児の黄疸は顔面、体幹、四肢の順で強くなっていくので、手や足などの末端が黄色っぽくなっている時は要注意です。
高ビリルビン血症の症状
生理的な黄疸であれば自然と消失するので、特に治療は必要ありません。
しかし、ビリルビン値があまりにも高い場合は光線治療を行います。ビリルビンは光を受けると水に溶けやすくなり、体外に排出されることが分かっているため、人工的な光を当てる光線療法を行います。保育器の中で昼色光、青色光、緑色光を発する蛍光灯の光を浴びせます。ほとんどの場合が光線療法後、数日でビリルビン値が下がりますが、それでも症状が改善されない重度の高ビリルビン血症の場合は交換輸血を行います。