早発型敗血症は、お母さんの胎内にいる時、または通常分娩時に感染した微生物により発症します
早発型敗血症
新生児敗血症の原因
新生児敗血症は、血液中に細菌が存在し、さまざまな全身性の症状があらわれる病気です。新生児敗血症の発症頻度は出生1000人に対し、1~10人くらいといわれており、母親のおなかのなかにいる期間が短い早産児や、低出生体重児、出生時に呼吸機能が弱かった新生児ほど頻度は高まります。新生児期は全身的に機能が未熟なのに加え、白血球機能を含む感染防御機能などの免疫システムも未熟であることが知られています。新生児敗血症のうち、生後72時間以内に発症するものを早発型、生後72時間以降に発症するものを遅発型と分けています。
新生児敗血症とは?
・黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性(たいせい)黄色ブドウ球菌を含む)
・コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(表皮ブドウ球菌など)
・大腸菌
・緑膿菌(りょくのうきん)
・インフルエンザ桿菌
・クレブシエラ菌
・セラチア菌など
遅発型は、周囲の環境により獲得される微生物が原因となります。ブドウ球菌が30~50%を占め、動脈内および静脈内のカテーテルからの感染 によることが最も多いとされており、鼻もしくは口からの挿管チューブや人工呼吸器などからの感染 、周囲からの細菌感染も起こり得ます。 院内感染性の肺炎や敗血症の急激な増加では、呼吸装置の汚染が疑われます。
遅発型敗血症
などが原因となります。
破水してから18時間が経過しても出産に至らない場合や、お母さんに感染症(特に尿路や子宮内膜,または分娩直前または分娩中における母体の発熱)がある場合にも早期型新生児敗血症の可能性が高まります。
・B群溶血性連鎖(ようけつせいれんさ)球菌
・大腸菌
・インフルエンザ桿菌(かんきん)
・クレブシエラ菌
・リステリア菌
・肺炎球菌
・コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(表皮ブドウ球菌など)
・胎内での経胎盤感染→結核菌、サルモネラ菌、リステリア菌など
感染経路は以下の3通りが考えられます。
新生児敗血症の完成経路
が原因となります。
・経産道感染→B群溶血性連鎖球菌、大腸菌など
元気がない、おっぱいをあまり飲まないなどの「何となくおかしい」といった症状から始まり、嘔吐や下痢、腹部膨満、神経過敏、けいれん、黄疸無呼吸脈拍が遅くなる(頻脈)、低体温、発熱、チアノーゼ(皮膚が紫色になる)など重症化すると呼吸障害に陥ります。
新生児敗血症の症状
・出生後の水平感染→黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌を含む)、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(表皮ブドウ球菌など)、緑膿菌、セラチア菌など
新生児敗血症の治療
早発型敗血症の場合は急激な経過をたどり、遅発型敗血症の場合は早発型に比べてゆっくりと発症するのが特徴です。
敗血症と診断がついたら、すみやかに治療を開始します。治療法は以下の4通りです。
・顆粒球コロニー形成刺激因子の投与
好中球(細菌などの侵入のさいに働く白血球)の前段階にある細胞を好中球へ変化・増殖させる因子を顆粒球コロニー形成刺激因子といいます。これを用いることで、好中球減少時のサポートが期待されます。
・免疫グロブリンの投与
早く生まれた子ほど不足しがちな好中球貪食能(こうちゅうきゅうどんしょくのう)などの免疫機能を補います。
・抗生剤の投与
迅速な対応が必要とされるため、敗血症と確定したら、病原体の特定を待たずに抗菌薬治療を始めます。
・血糖、電解質異常、アシドーシスの補正
・新鮮凍結血漿やドーパミン・ドブタミンなどによる抗ショック療法
・呼吸障害に対するサポート
・けいれんなどの神経症状に対する対処療法
・菌や毒素、炎症を引き起こす物質の除去を目的とする交換輸血、顆粒球輸血、血漿交換など