2016.06.15 Wed 更新

生まれつきの病気、新生児の先天性食道閉鎖って?その原因と予防法について

先天性食道閉鎖は生まれつきの病気で、妊娠中に診断されることがあります。この病気を持っている赤ちゃんは、食道が繋がっていないためにうまくミルクを飲むことができません。出生後すぐであれば、入院中の授乳で異変に気づくかもしれませんね。赤ちゃんの様子がおかしいな、と思ったらすぐに医師に伝えましょう。

先天性食道閉鎖の症状

先天性食道閉鎖の詳しい原因は未だに分かっていませんが、胎生期の気管と食道の基となる組織の分裂障害からきた先天奇形と言われています。赤ちゃんは胎生4~7週頃に食道や気管の形成がなされるのですが、この胎生期に何らかの異常が生じてしまうと食道が閉鎖してしまいます。妊娠中に羊水過多や胃が小さいなどの所見を指摘されることも多く、出生前に先天性食道閉鎖の診断をされます

先天性食道閉鎖の原因

先天性食道閉鎖は、生まれつき食道が繋がっておらず、離断された状態で生まれてくることです。
発生頻度は文献によって多少異なりますが、3000~5000例に1例とされています。

先天性食道閉鎖とは

先天性食道閉鎖の治療

先天性食道閉鎖は、胃管が上部食道でコイルアップ(胃管の反転)することで診断がつきます。コイルアップした位置により食道閉鎖の部位を推定することができます。また、胃泡(いほう)の大きさで先天性食道閉鎖の型の分類をすることができます。

先天性食道閉鎖の診断

生まれつき先天性食道閉鎖を持って生まれてきた赤ちゃんは、嚥下困難がみられます。食道が閉鎖しているため、ミルクが食道を正常に通らず、気管に流れ込んでしまい、激しくむせる、口から泡状の唾液を出す、呼吸困難になる、顔が紫色になるチアノーゼ状態になるなどの症状があらわれます。症状に気づかずに放置してしまうと、肺炎や呼吸不全に陥ってしまい、最悪の場合命を落としかねません。異常に気付き、早期に治療を始めることが重要です。

C型:上部食道の盲端と下部食道気管瘻のあるもの
発生頻度:85~90%
まずは胃瘻をつくります。上下食道間の距離が長い場合には赤ちゃんの体重増加を待って、距離が短い場合には生まれてすぐに根治手術(気管食道瘻切除・食道端々吻合)を行うこともあります。気管食道瘻による肺炎を起こしている場合には、食道の上端部へ吸引チューブを挿入して吸引を行い、処置を行います。

B型:上部食道気管瘻と下部食道の無形成か盲端であるもの
発生頻度:低出生体重児の赤ちゃんに多いが、稀
唾液が気管内に流れ込み、早期から呼吸状態が悪くなるため、胃瘻をつくるのに伴い、上の食道と気管との間を切り離す必要があります。A型と同じく距離が長い例が多いので、赤ちゃんの体重の増加を待って根治術を行います。

A型:食道閉鎖のみで合併症状がない
発生頻度:5~10%
上下の食道の距離が長いため、新生児期には胃にチューブを入れて胃瘻(人工的に作られた小さな口)をつくり、その胃瘻を通してミルクの注入や減圧を行います。赤ちゃんの体重増加を待って根治術を行うことが多いです。口の中の唾液の吸引を行い誤嚥の予防に努めます。上下の食道をつなぐ際には代用食道(胃、小腸など)を使用する場合があります。

先天性食道閉鎖は、繋がり方の特徴からA~Eの5タイプに分けられます。
治療法はタイプによって異なり、基本的に手術での治療となります。

D型:上部食道気管瘻と下部食道気管瘻と、両者の間で食道無形成であるもの
発生頻度:1%前後と非常に稀です。
B型と同じく、胃瘻をつくるのに伴い、上の食道と気管との間を切り離します。

E型:食道気管瘻のみで食道閉鎖症のないもの
発生頻度:5%
気管食道瘻孔のみの病型で、生後すぐに発見されることは少ないと言われています。右頸部(鎖骨の上)から到達して気管と食道の間の交通(瘻孔)を切り離します。再発することが多いのが特徴です。

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