胎盤機能不全症候群は、何らかの原因により胎盤の機能が低下し、上述したような正常な働きができなくなります。胎盤が機能しなくなると、赤ちゃんに色々な症状が現れます。
胎盤機能不全症候群とは
この他にも、胎盤には有害な物質から赤ちゃんを守るフィルターの働きがあります。胎盤ができる前はフィルター機能が働かないために、母体から赤ちゃんに血液を送る際に血中の物質まで一緒に送ってしまいます。例えば、このフィルター機能が働かないうちにお母さんが薬を服用してしまうと、薬中の物質はそのまま赤ちゃんへと運ばれて問題を引き起こします。妊娠初期に服薬に気をつけなければならないのはこの為です。
胎盤ができ、フィルター機能が働くようになると、分子の大きいものは引っかかるので赤ちゃんには届きません。しかし、分子の小さなものはフィルターを掻い潜って赤ちゃんに届いてしまう為、いずれにせよ妊娠中の服薬には医師の指導が必要です。
胎盤からは様々なホルモンも分泌されているので、胎児の成長を促すなどの働きをします。胎盤は多方から赤ちゃんを守ってくれているのです。
胎盤とは、自分で呼吸ができない赤ちゃんに変わって、母体から酸素や栄養を送り込む大切な臓器です。妊娠5週ごろから作られ始め、13週ごろに完成します。
妊娠直後から、絨毛(じゅうもう)という根のような組織が子宮内膜に根を張り始めます。この絨毛が徐々に増殖して、ひとつの臓器になったものを胎盤といいます。胎盤が完成すると、へその緒を介してお母さんから酸素と栄養が送られ、赤ちゃんから二酸化炭素や老廃物が送り返されます。
胎盤って何?
・痩せて細長い体型をしている
・皮膚がしわしわで乾燥している
・皮膚の亀裂や表皮の剥離
・髪の毛が長い
・爪が長い
・顔つきが大人びている
・低血糖を起こしている
胎盤の機能が低下すると、十分な栄養が赤ちゃんに届かなくなるので、以下のような栄養不足特有の症状が現れます。
赤ちゃんに現れる症状
まれに赤ちゃんだけでなく、お母さんにも症状が現れることがあります。
胎盤機能不全症候群の症状
胎盤機能不全症候群の原因
自覚できる症状としては、体重が増える、足や手などの末端にぶよぶよとしたむくみがあらわれる、頭痛がする、などがあります。
自覚の難しい症状としては、
・血圧が上がる
・尿にタンパク質が漏れる
・役割を果たしていない胎盤が剥がれてしまう
・羊水の量が減る
・早期の出産
などがあります。
お母さんに現れる症状
酸素が十分に届いていない場合、胎内で胎便を排泄している場合があります。通常は胎内で排便はしませんが、低酸素状態が続くと赤ちゃんはストレスを感じて排泄してしまいます。排泄によって羊水が汚れて濁ってしまうために、赤ちゃんの皮膚や臍帯が黄緑色に変色していることがあります。
胎盤は、出産予定日を過ぎるとその役目を終えるために徐々に機能が衰えていきます。正期産である37週0日~41週6日を超え、42週以上の過期妊娠になってしまうと、赤ちゃんは正常に栄養を受け取ることができなくなります。
この他にも、糖尿病または腎炎を患っている、妊娠中毒症(妊娠高血圧症候群)、慢性的な高血圧である、高齢出産、血液凝固障害がある、薬物乱用の経験がある、喫煙者であるといった原因で胎盤機能不全症候群を発症してしまいます。
出産前に胎盤機能不全症候群と診断された場合は、体を安静にし、それ以上悪化しないようにします。妊娠40週~41週になっても赤ちゃんが生まれない場合、過期妊娠を避けるために陣痛促進剤を使用して分娩を促します。場合によっては、帝王切開での出産となります。出産した後に胎盤機能不全であると気付いた場合は、赤ちゃんに対して低血糖や多血症などの合併症の治療を行います。