2016.06.16 Thu 更新

胎便吸引症候群ってどんな病気?原因や症状について

胎便吸引症候群は、子宮内で赤ちゃんが胎便を排泄し、その胎便を羊水と一緒に吸い込んでしまうことで起こります。普通、胎児は排泄することはありませんが、何らかの原因で酸欠状態に陥ってしまうと排泄をしてしまいます。どうして酸欠状態になってしまうのでしょうか。胎便吸引症候群について詳しくご紹介していきます。

赤ちゃんはなぜ酸欠になるの?

子宮内で赤ちゃんが酸素不足に陥ると、そのストレスで赤ちゃんの腸の動きが一時的に活発になり、同時に肛門の括約筋が緩みます。そのため、普通は胎便を排泄しないはずの胎児がもよおしてしまうのです。低酸素状態でのストレスで赤ちゃんは激しくあえぐため、濁った羊水や自分の胎便を吸い込んでしまいます。そのために気管支が胎便でふさがり、呼吸困難やチアノーゼを起こします。また、胎便は肺組織に対して刺激性をもつため、肺炎を引き起こすことがあります。

胎便吸引症候群の原因は「酸欠」

胎便吸引症候群(MAS:Meconium aspiration syndrome)とは、胎児期や出生直後の赤ちゃんが呼吸障害を起こしてしまう病気です。赤ちゃんがお母さんのお腹にいる間は、周りを羊水に囲まれています。普通、胎内の赤ちゃんは胎便を排泄することはないのですが、まれに羊水の中で排泄をしてしまうことがあります。胎便により羊水は汚れて濁ってしまい、赤ちゃんはその羊水を吸い込んで、肺や気道を胎便で詰まらせてしまうことがあります。ただ詰まっただけであれば、取り除く処置だけで済みますが、場合によっては肺が破裂してしまったり、肺炎を起こしていることがあります。羊水への胎便の排泄は、全分娩数の10~15%の割合でがみられ、そのうちの約5%が胎便吸引症候群を発症するといわれています。発症した30~50%の赤ちゃんが、人工呼吸療法を必要とします。

胎便吸引症候群とは?

胎便吸引症候群を発症して生まれてきた赤ちゃんは、胎便の影響で黄色に着色しているため、外見で分かります。吸い込んでしまった胎便の量により症状の重さは変わり、呼吸障害がある場合には
出生直後から呼吸が速い、息を吸うときに胸壁の下部がへこむ、息を吐くときにうめくような声を出す、呼吸困難で皮膚が青紫色になる(チアノーゼ)などが認められます。胎便が肺に入っている場合、肺炎を起こしていたり、肺胞内の閉塞により気胸を起こしていることがあります。

胎便吸引症候群の症状

・胎盤機能不全症候群
胎盤機能不全症候群により胎盤の機能が低下してしまうと、赤ちゃんに正常に酸素を送ることができなくなり、酸素不足に陥ってしまいます。胎盤機能不全症候群は、42週以上の過期妊娠になってしまうと起こりやすくなります。

・へその緒が首に巻きつく
赤ちゃんの首にへその緒が巻きついていたり、ねじれてしまうと、首に正常な血液が送られないことで呼吸不全に陥ってしまいます。

赤ちゃんが酸欠になる原因として、へその緒が首に巻きつく、胎盤機能不全症候群などが考えられます。

破水が起きたら確認しよう

生まれたときに赤ちゃんが胎便で覆われている場合は、すぐに赤ちゃんの口や鼻、のどから胎便を取り除きます。その後、肺につながる気管へチューブを通し、気管内の胎便もすべて取ります。
たいていは症状が軽く、保育器で酸素を注入しながら1週間程度の経過観察で、すぐに自分で呼吸ができるようになります。後遺症なども特に心配する必要はありません。
ただし、気胸や持続性肺高血圧症などの合併症を発症してしまうと重症化する場合があります。
胎便吸引症候群を予防することは難しいですが、出生後に適切な処置を受ければ完治します。

胎便吸引症候群の治療

胎便吸引症候群は、出産前にも羊水の汚濁や量、または呼吸の異常から判断することができますが、すべての胎便吸引症候群が事前に見つかるわけではありません。もしも、お家で破水をした時は色を見てみてください。黄色や緑色だった場合は、赤ちゃんが胎便をしているということになります。
お腹の中で赤ちゃんが酸欠状態になっているので、普通の破水以上に急いで病院へ行きましょう。

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