体外受精や顕微授精を行う場合には、精子と卵子を体外で受精させて受精卵を作ります。
その受精卵を子球に戻して妊娠を待ちますが、どの時期で子宮内に戻すかにはいくつかありますが、受精後2〜3日、体外で培養した受精卵を子宮に戻す場合には「初期胚移植」と言います。
胚盤胞移植を行うのは何日目?
受精卵は細胞分裂を繰り返しながら卵管の中を進んでいき、子宮にたどり着く頃には桑実胚の上体になっています。
その後、胚盤胞の状態で子宮内膜に着床することで妊娠が成立します。
胚盤胞は外側を覆う「外細胞膜」と胎児の元になる「内細胞塊」とで構成されています。
卵子は精子と出会って受精すると「受精卵」になります。
その後、細胞分裂を繰り返して、授精2日後には4分割、3日後には8分割と倍々に増えていくのです。
細胞分裂で別れた細胞はその後互いにくっつき、授精4日後に「桑実胚」、5日後には「胚盤胞」になっていきます。
胚盤胞って何?
なぜ胚盤胞を移植するの?
受精後4〜5培養して、桑実胚の状態まで育ててから子宮に戻すことを「桑実胚移植」、5〜6日培養して胚盤胞の状態まで育ててから子宮内に戻すことを「胚盤胞移植」と言います。
近年では医学技術の進歩によって、体外で培養できる器官が長くなり、受精卵がより成長した状態で子宮内に戻すことが出来るようになってきています。
着床率が高い
初期胚の状態では、その後順調に成長するかは移植してみるまでわかりません。
しかし、胚盤胞まで順調に培養することができれば、その後子宮に戻した時に成長していく可能性の高い良質な灰を選別することが出来るのです。
良質な胚の選定
体外受精や顕微授精を行う際、なぜ胚盤胞になるまで培養した方がいいのでしょうか?
主なメリットは次の2つだと言われています。
一般的に着床する確率は、初期胚→桑実胚→胚盤胞というように、成長が進んでいる状態で移植するほど高くなると言われています。
胚盤胞はすでに細胞分裂している状態なので、移植後に子宮内で自力で成長する器官が短く済むのです。
胚盤胞まで育った段階で移植すると着床率が高いことはわかりましたが、次のようなリスクもあるようなので、知っておくようにしましょう。
リスクはあるの?
正式なデータではありませんが、胚盤胞移植の着床率は約52%というデータもあるようです。
受精卵が胚盤胞まで成長する確率は、約30〜50%程度だと言われています。
つまり、採取した卵子と精子を受精させていくつかの受精卵を培養したとしても、その内の1つも胚盤胞まで育たないということもあるのです。
その時には、胚移植自体がキャンセルとなってしまうこともあります。
胚盤胞まで育たないこともある
培養液内より子宮内のほうが受精卵の成長に適しているので、胚盤胞まで育つのを待たずに初期胚や桑実胚の状態で移植した方がうまく着床していた可能性もあるということです。
胚盤胞を移植した場合の着床率は高くなりますが、採卵1回あたりの着床率で見ると、初期胚移植や桑実胚移植とそれほど変わらないという考えもあるようです。
多胎妊娠になりやすい
グレードって何?
しかし。胚盤胞移植を行なった場合には、一卵性双胎が3%程度起こると言われています。
これは通常の妊娠と比べると約10倍ほどの確率です。
多胎妊娠は、早産や低出生体重児など、リスクが高くなることもあるので注意しましょう。
以前は子宮内に複数の胚を戻すことで、双子や三つ子などの多胎妊娠となる可能性が高かったのですが、近年では原則1つしか胚を移植することはありません。
なので、多胎妊娠の確率も減少してきています。
1. 胞胚腔の広がり具合によって、1~6段階に分類
2. 内細胞塊の形と細胞数をA~Cに分類
3. 外細胞塊の形と細胞数をA~Cに分類
受精卵の成長段階に応じて「グレード」という分類があり、胚盤胞のグレード分類に主に使用されるのは「Gardner分類」です。
胚盤胞の中の液体が溜まっている「胞胚腔」、胎児の元となる「内細胞塊」、胎盤に変化する「外細胞塊」のそれぞれを下記のように分類します。
数字とアルファベットを組み合わせて「4AC」「3AB」という表記で、数字が大きいほど成長しており、アルファベットはAが一番状態がいい事を表します。
グレードが高く状態の良い胚盤胞の方がより着床率は高まります。
培養している受精卵が複数胚盤胞の状態まで育っているなら、できるだけ良質な物を選んで子宮内に戻すことで姙娠する各区率を高めることが出来るのです。