でべそと臍帯ヘルニアの見分け方
目に見えて臓器が突出していないからと言って、臍帯ヘルニアではないと言い切ることはできません。実は、でべそには2種類あるのです。その違いとは、「お腹の中と繫がっているか」、「そうでないか」
皮膚だけが飛び出している、「お腹の中と繋がっていない」でべそが、一般的に「でべそ」と言われるものです。一方、臍帯ヘルニアと言われるものは、見た目はほとんど「でべそ」と変わりはないのですが、実はお腹の中と繋がっています。お母さんのお腹の中で、へその緒の繋がった胎児のお腹には臍輪という穴が空いており、へその緒を切るとこの穴は自然と塞がれます。しかし、何らかの理由でこの穴が閉じないと、臍の下の腹筋に小さな穴が空いたままになってしまい(ヘルニア門と言います)、そこから腹腔内臓器が突出してしまうのです。
でべそは臍帯ヘルニアじゃないの?
臍帯ヘルニアとは、臍帯内に胃腸や肝臓などの腹腔内臓器が突出した状態のことをいいます。胎児のお腹の壁は、3~4週の胎生早期に作られますが、それが正しく作られないとお腹の壁に穴が開いてしまい、赤ちゃんはへその緒(臍帯)の中に胃や腸、肝臓などが出たままの状態で生まれてきます。臍帯ヘルニアのほとんどが、胎児超音波検査によって生まれる前に診断されます。
臍帯ヘルニアってどんな病気?
赤ちゃんのでべその対処法として、「硬貨をおへそに貼り付ける」や「スポンジを貼り付ける」などの話しも聞きますが、これらは絶対行ってはいけません。赤ちゃんの肌はとてもデリケートなので、テープでかぶれてしまったり、蒸れることで細菌が繁殖し、湿疹を起こしてしまうこともあります。医療用のテープを使用する時も、必ず医師の指示に従ってください。
ピンポン玉大の大きさに膨らむでべそを見ると不安になるかもしれませんが、弾けたり破れたりすることはないので安心してください。赤ちゃんが気にして引っかいたり触ったりしないようにだけ気をつけてあげましょう。
臍帯ヘルニアは自分で治せないの?
新生児の臍帯ヘルニアは、腹筋の力が弱く、臍自体が柔らかいために起こります。寝返りやハイハイができるようになると腹筋がしっかりしてくる為、1歳頃までには95%の赤ちゃんが自然に治るそうです。しかし、1歳を過ぎても改善が見られない場合は受診されることをお勧めします。治療をする為には手術が必要となり、開いたままのヘルニア門を縫合して、腹腔内臓器が突出しないようにします。手術中の麻酔には、小児の場合は全身麻酔が用いられます。
「臍ヘルニアを伴うでべそ」の手術は保険適応となります。一般的な「でべそ」(臍突出症)の手術はいわゆる”美容形成手術”になりますので保険適応外となります。
臍帯ヘルニアはどうやって治療するの?
でべその中心を軽く押して形が変わるかどうかで見分けることができます。指で押さえると引っこみ、指を離すとまた出てくる場合は臍帯ヘルニアと言えるでしょう。赤ちゃんが泣いた時や、いきんだ時などお腹に力が入るたびに膨らむといった顕著な変化が見られることも少なくないです。
赤ちゃんの臍帯ヘルニアは、圧がかかればかかるほどおへそが出やすくなると言えます。おへその皮膚が伸びたり変形しないようにするために、「おへそが突出する回数」を減らすことが予防に繋がっていきます。赤ちゃんのお腹に圧がかかりやすいのは、お腹が張っている時やウンチなどで気張っている時です。上手にゲップができずにお腹に空気がたまっている状態や、ガスの発生を促進させる便秘の状態をどれだけ減らすことができるかが予防に繋がっていくのです。