新生児壊死性腸炎の症状
詳しい原因は分かっていませんが、発症するほとんどの赤ちゃんが、非常に早く生まれた早産児だと言われています。健康状態が悪い早産児では腸への血液が少なくなるため、腸の内側が傷ついてしまいます。すると、腸内の細菌が傷のある腸壁から侵入しやすくなり、敗血症などの感染を起こします。傷が進行して腸壁に穴が開いてしまうと、腸の内容物が腹腔に漏れ出して炎症、または、腹腔と腹膜の感染症(腹膜炎)を引き起こします。
新生児壊死性腸炎の原因
新生児壊死性腸炎(NEC)とは、未熟な腸管に発症する後天性の消化管疾患です。腸への血液の流れが障害され、そこに細菌などの感染が加わることにより腸が壊死する、新生児の病気の中でも重い病気のひとつです。
この病気にかかった新生児の半数以上は回復しますが、死亡率は30~40%と言われており、低出生体重児での死亡率は、壊死性腸炎が最も高いとされています。
新生児壊死性腸炎(NEC)ってどんな病気?
壊死性腸炎(NEC)と疑われた場合は、授乳を中止します。吸引チューブを赤ちゃんの胃に入れ、空気とミルクを飲みこむことで生じる圧力を取り去ることができ、腸にかかる圧力も軽減できます。輸液や抗生剤の投与も開始され、積極的な呼吸・循環管理を行います。1つの新生児室から複数人発症することがあるため、他の赤ちゃんに感染を広げないように、発病した赤ちゃんを隔離することがあります。
壊死性腸炎を起こした赤ちゃんの半数以上は手術を必要としませんが、腹膜炎を伴う穿孔や腸管壊死がある場合は手術が必要です。手術では、血液の供給が止まった腸の一部や壊死してしまった部分を取り除きます。元気な腸同士をつなぎ、便を排出するための一時的な開口部を作るオストミーや、お腹の外に腸を出す腸ろう手術など、病気の進行によって様々な方法があります。
腹膜炎を発症しているものの、体格が非常に小さい赤ちゃんや、状態が非常に悪い赤ちゃんの場合は大規模な手術には耐えられない為、腹膜ドレーン(排液管)という管を左右の下腹部から腹腔内に留置します。腹膜ドレーンを通じて腹腔から便と腹膜液を吸い出し、更に抗生物質の投与も行うことができるので、症状を軽減してくれます。この処置で多くの赤ちゃんの容体が安定し、後に手術をより安全な状態で行うことができます。手術をしなくてもこの治療法だけで劇的に回復する例もあります。
新生児壊死性腸炎の治療法
壊死性腸炎(NEC)の診断は腹部X線検査によって行われ、腸管拡張像、腸壁内ガス像、門脈内ガス像などの所見が得られます。壊死性腸炎が疑われた場合、繰り返しX線検査を行うことが重要です。原因菌と敗血症の他の指標を調べるため、採血を行うこともあります。重症の場合、腹腔にドレーンを置いたり、血液の供給が止まり壊死してしまった腸の一部を取り除いたりします。
新生児壊死性腸炎の診断
発症は生後4~6日が多く、授乳後に発症します。壊死性腸炎を起こすと、赤ちゃんのお腹が腫れます。また、緑色や黄色、さび色をした液体を吐いたり、便に血が混じったりしているのが確認出来ることもあります。これらの症状が出た赤ちゃんは非常に具合が悪くなり、体がぐったりとし、体温の低下や、呼吸の一時的な停止を繰り返す無呼吸発作、敗血症ショックといった症状が現れ、重篤な経過をたどります。
乳児用調合乳は壊死性腸炎を引き起こしやすいと考えられているので、できるだけ母乳をあたえることが予防につながるといわれています。また、近年の研究では、母乳には硝酸ナトリウムが豊富に含まれることが明らかにされており、この硝酸ナトリウムが、腸内細菌の働きによって亜硝酸塩に変換され、この亜硝酸塩が一酸化窒素に変換されるのだそうです。一酸化窒素には血管拡張作用があるので、腸の血流が改善され、腸への血液の供給が滞ることで起こると考えられている壊死性腸炎(NEC)の予防につながるのではと考えられています。