新生児敗血症の主な症状は以下の通りです。
新生児敗血症の症状
新生児敗血症のうち、生後72時間以内に発症するものを早発型、生後72時間以降に発症するものを遅発型と分けています。
新生児敗血症とは、罹患率や死亡率が高い病気として知られている、生後90日以内の赤ちゃんに起こる細菌感染症です。細菌が血液中に存在し、さまざまな全身性の症状を現す病気です。新生児敗血症は出生1000人に対し、1~10人の頻度で、生じるといわれています。お母さんのお腹にいた期間の短い早産児や、低出生体重児、出生時に呼吸機能が弱かった新生児ほど発症しやすいと言われています。早産児は白血球機能を含む感染防御機能などの免疫システムが未発達で、特定の細菌に対する抗体を持っていません。これらの抗体は妊娠後期に胎盤を通して母親から胎児へ受け継がれるので、早く生まれてきた赤ちゃんには十分に伝わっていないのです。
新生児敗血症ってどんな病気?
早発型は、お母さんの胎内にいる時、または通常分娩時に感染した微生物により発症します。B郡溶血性連鎖球菌、大腸菌が早発型敗血症の70%を占めるといわれています。この他にも、インフルエンザ桿菌(かんきん)、クレブシエラ菌、リステリア菌、肺炎球菌、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(表皮ブドウ球菌など)も原因となり得ます。破水してから18時間が経過しても出産に至らない場合や、お母さんに感染症(特に尿路や子宮内膜,または分娩直前または分娩中における母体の発熱)がある場合にも早期型新生児敗血症の可能性が高まります。
早発型
新生児敗血症の原因
早発型の場合は急激に容体が悪くなり、遅発型の場合は早発型と比べてゆっくりと発症するのが特徴です。
○元気がない
○おっぱいをあまり飲まない
○無呼吸
○脈拍が遅くなる(頻脈)
○低体温
○発熱
○チアノーゼ(皮膚が紫色になる)
○嘔吐
○下痢
○腹部膨満
○神経過敏
○けいれん
○黄疸
血液検査尿検査髄液検査を行い、細菌の有無を調べます。
新生児敗血症の診断
遅発型は、周囲の環境により獲得される微生物が原因となります。ブドウ球菌が30~50%を占め、動脈内および静脈内のカテーテルからの感染 によることが最も多いとされており、鼻もしくは口からの挿管チューブや人工呼吸器などからの感染 、周囲からの細菌感染も起こり得ます。 院内感染性の肺炎や敗血症の急激な増加では、呼吸装置の汚染が疑われます。
遅発型
新生児敗血症の治療
敗血症と確定したら、すみやかに抗生物質を投与します。迅速な対応が必要とされるため、病原体の特定を待たずに抗菌薬治療を始め、初期治療にペニシリン系抗菌薬、アミノグリコシド系抗菌薬、セフェム系抗菌薬を使用し、大腸菌やブドウ菌などの嫌気性菌の感染が疑われる場合はメトロニダゾール、院内感染の場合はバンコマイシンなどを使用します。
1.抗生剤の投与
敗血症の治療法は数通りあります。
予定通り生まれてきた赤ちゃんは十分な量の免疫グロブリンを持っていますが、早く生まれるほど不足しがちなため、補充により好中球貪食能(こうちゅうきゅうどんしょくのう)などの不十分な免疫機能を補います。
2.免疫グロブリンの投与
3.顆粒球コロニー形成刺激因子の投与
好中球(白血球の構成成分の一つ、細菌などの侵入のさいに働く)の前段階にある細胞を好中球へ変化・増殖させる因子を「顆粒球コロニー形成刺激因子」といいます。これを用いることで、好中球減少時のサポートが期待されます。
新生児敗血症の予防
呼吸障害やけいれんなど、症状にあった治療を行います。血漿の交換や交換輸血を行う場合もあります。
4.その他
敗血症の予防法のひとつとして、出産前のお母さんに抗生物質を投与する方法があります。母体からのB郡溶血性連鎖球菌による発症を予防します。