2016.05.22 Sun 更新

新生児の分娩麻痺ってどんな病気?その原因や症状、治療法などについて

分娩麻痺とは、分娩児の産道での損傷により生じる麻痺のことで、腕の神経が損傷を受け、腕が動かなくなる症状のことを指します。分娩麻痺の症状は、神経の損傷の程度や、損傷した場所によって個人差がありますが、場合によっては完治するまでに時間がかかる場合があります。分娩麻痺について知っておきましょう。

分娩麻痺の症状

腕神経叢という神経の集まりは頸部とつながっており、分娩時に頸部が側方に過剰に引き伸ばされることで損傷が起こります。頸部にかかる力の強さによって、神経が引き伸ばされる程度から神経が完全に断裂してしまうものまで、損傷の程度は異なります。
発生頻度は比較的高く、0・2~0・5%に発生するとされており、4000kg以上の巨大児に多く見られます。
肩幅が頭よりも大きい場合には、産道で引っかかってしまうため、、吸引分娩(陣痛だけでは出ない赤ちゃんの頭に、丸いカップを当ててカップの空気を抜くことで吸引し分娩する方法)や鉗子分娩(トングのような専用の器具を使って赤ちゃんの頭を挟み、引っ張り出す応急処置)による牽引が行われますが、過度に力が加わってしまうと分娩麻痺を引き起こします。骨盤位分娩(逆子)でも、頭よりも先に肩が産道を通るため、腕の神経が引き伸ばされやすく、分娩麻痺が起こる場合があります。

分娩麻痺の原因

分娩麻痺とは、分娩児の産道での損傷により生じる麻痺のことで、一般的に腕の神経が損傷を受ける腕神経叢麻痺(わんしんけいそうまひ)を指します。赤ちゃんは子宮の収縮によって、狭い産道を押し出されて生まれてきますが、その圧力が腕の神経に負担をかけます。その力が限界を超えると、分娩麻痺となり、腕や肘、指などが動かせなくなります。

分娩麻痺って?

分娩麻痺の治療

分娩麻痺は、神経が損傷を受けた場所により、上位型麻痺(エルブの麻痺)、下位型麻痺((クルンプケの麻痺)、全型麻痺に分類されており、おおむね1か月を経過した時点で分類されます。症状は個人差もあり、様々です。
上位型麻痺(では、肩や肘を曲げたりまわしたりができなくなり、腕全体がだらりとした状態になることが多いですが、指を握ることはでき、手を反らすことができるケースもあります。
下位型麻痺(では、肩や肘を動かすことはできますが、指を動かすことができません。
全型麻痺(は、肩、肘、指のいずれも動かすことができなくなることが多いです。まれに横隔膜が麻痺するケースも見られ、横隔膜の麻痺を伴うと、チアノーゼ(皮膚が青紫になること)、呼吸数の増加、呼吸困難が生じることもあります。

分娩麻痺の治療には、手術療法とリハビリテーションを行う場合の2通りありますが、多くの場合がリハビリテーションによって回復します。
神経が完全に断絶している場合、手術による神経の修復が必要です。幼児期までは、継続してリハビリテーションを受ける必要があり、麻痺の状態によっては、学童期に再び手術が行われます。

● 幼児期
回復してきた機能に対するリハビリテーションを継続します。
関節の拘縮が始まったら、より積極的にリハビリテーションを行いますが、それでも改善しない場合には拘縮解離のための手術を行う必要があります。

●生後1か月
生後1か月を過ぎても全く上肢を動かすことができない場合、3か月頃に神経の手術を必要とします。
手の指がしっかり動き、肩や肘の動きだけが悪い場合は回復を見込んで経過をみます。
それでも回復がみられなければ、6か月頃に神経の修復手術を行う可能性があります。

●生後3週目
関節の拘縮(変形して硬くなる)を防ぐために、リハビリテーションを行います。回復して動くようになってきた箇所は積極的に使用します。この時点で順調に回復していれば、後遺症の心配は要りません。

●出生後
出生後の数週間は損傷部位を安静にすることが必要です。動かない上肢を無理やり引っ張ったり、動かしたりしないように注意します。

●学童期
麻痺が残っている場合、二次再建手術を行うことで、機能改善が得られる場合があります。

ランキング

ページトップへ