症状の進行はゆっくりで、自然に治る傾向があります。症状の進行具合によって5段階に分けて、治療の必要性を判断されます。
Ⅰ型
出生体重が1,500g未満で生まれた赤ちゃんの約60%が発症し、妊娠28週未満で生まれた赤ちゃんの発症率はほぼ100%といわれます。
未熟児網膜症は、徐々に進行する「Ⅰ型」と急速に進行する「Ⅱ型」の2種類に分類されます。生まれてから検査をするまではどちらのタイプかは判断できません。
未熟児網膜症とは、目の奥にある網膜の血管の伸びが途中で止まってしまい、血管が枝分かれしたり、新たな血管ができたりと、血管が異常に成長する病気です。
赤ちゃんの目は、妊娠3週目頃から形成され始め、7週目頃には眼球の形が完成します。そして、光の情報を脳に伝える網膜や視神経も同時期に作られます。網膜に栄養を送る血管は妊娠16〜17週目以降に発達し始め、妊娠36週目頃に完成します。お母さんのお腹にいる時間が短かった早産の赤ちゃんは、網膜の血管が完成する前に生まれるため、網膜の血管の成長は途中で止まってしまいます。その成長の止まった血管は枝分かれしたり、目の中心に向かって立ち上がったりと異常な発育をする可能性があるため、網膜剥離を起こして視力の低下や失明を引き起こしてしまいます。
未熟児網膜症って?
未熟児網膜症の治療
急激に症状が進行し、網膜剥離を引き起こして失明する可能性が高くなります。Ⅱ型と診断され次第ただちに治療が行われます。お腹にいる期間が短く、出生体重が低ければ低いほどⅡ型に該当する確率が高くなります。
Ⅱ型
○第1段階
伸びている網膜血管の先端部と、血管の伸びていない網膜との境目に境界線と呼ばれる組織ができます。
○第2段階
境界線に厚みが増します。第二段階までは自然治癒の可能性があるので経過観察になります。
○第3段階以上
境界部に新しい血管ができ、増殖した組織が硝子体に向かって伸びていきます。さらに増殖組織が増すと、網膜剥離を起こす恐れがあります。
ステージ4
網膜から出血したり、増殖組織が増大すると、正常な血管が網膜を引っ張るようになり、網膜剥離を引き起こします。硝子体手術で増殖組織を取り除き、はがれた網膜をできるだけ元の位置に戻しますが、ほとんどの赤ちゃんに高度な視力障害が残ってしまいます。
ステージ3
境界線から網膜外へ、異常な血管がどんどん成長していきます。酸欠部位にあたしい血管を伸ばして酸素を届けようとする毛細血管の新たな増殖ですが、この血管は非常にもろく、網膜とは別組織の硝子体にまで進展してしまいます。レーザー治療を行いますが、網膜に引き連れが残り、視力に障害が出ることがあります。
ステージ2
網膜の酸欠状態が続き、境界線が生じています。異常血管が増殖しないよう、レーザー治療を行います。
ステージ1
網膜血管の発達していない部分が青白く見える段階です。正常な血管が発達していく可能性があるので、経過観察をします。
未熟児網膜症の治療には手術が必要となります。
まず、レーザーによる治療を行い、血管が伸びていない部分の網膜をレーザーで焼き、新しく血管が作られるのを防ぎます。治療は一度だけではなく、回数や期間を調節して繰り返し行います。レーザー治療を行っても症状が進行する場合には、強膜バックリングや硝子体手術を行う場合があります。進行具合によって治療法が異なります。
ステージ5
網膜剥離が拡大し、すべての網膜が剥離した状態です。ステージ4と同じく、硝子体手術を行います。
予定日よりも早く生まれた場合は、未熟児網膜症は避けられませんが、簡単な検査で診断できるので、早期発見で速やかに施術を行うことができます。
赤ちゃんが小さく生まれてきた時は、医師と相談しながら目の状態をしっかりとチェックするようにしましょう。