不育症の原因と治療法
なかなか妊娠できないのが不妊症、妊娠はできるが赤ちゃんが育たないのが不妊症です。
不育症は妊娠をしても流産を繰り返してしまう状態のことをいいます。
流産を2回続けて繰り返すことを「反復流産」、3回以上続けて繰り返すことを「習慣流産」と呼び、不育症とほぼ同じ意味で使われます。
ただ、不育症は流産だけではなく、妊娠22週以降の死産や生後1週間以内の新生児死亡も含み、より広い意味で使われる言葉です。
授かった赤ちゃんを流産してしまう可能性は妊娠を望むならどんな女性にもあります。
流産とは、妊娠21週までに妊娠が終わってしまうことをいい、全妊娠の約10~20%は流産に至るといわれています。
自然流産の原因は、偶発的な染色体異常が原因で起こることが多いとされています。
不育症って何?習慣流産や不妊症とは違うの?
子宮形態異常
パパママのいずれかに染色体異常があれば、受精卵にも一定の確率で染色体異常が起こり、流産の要因になります。
厚生労働省のデータによると不育症の4.6%が夫婦染色体異常によって起こっています。
染色体異常に対しての根本的な治療法はありませんが、染色体異常があっても出産に至ることはできます。
流産率は夫婦いずれかの染色体異常で約50%といわれています。
夫婦染色体異常
流産の原因のほとんどは胎児側の染色体異常で、偶然が重なって流産や死産を繰り返してしまうと考えられています。
しかし、不育症の原因となると考えられている危険因子が影響を与えている場合もあり、具体的には以下のようなものがあります。
血液凝固異常
排卵や着床障害の原因になるこ「高プロラクチン血症」、高温相の体温維持などに影響する黄体ホルモンがうまく働かない「黄体機能不全」、あるいは「甲状腺機能低下症」など、ホルモン分泌の異常が流産に影響を与えると考えられています。
医師の指示のもと薬物療法や食事療法を行い治療していきます。
内分泌異常
子宮の形に異常があると流産をしやすくなります。
子宮形態異常の種類には、双角子宮、単角子宮、中隔子宮、弓状子宮、あるいは子宮筋腫などが考えられます。
子宮形態異常による不育症は全体の7.8%を占めています。
次の妊娠に備えるため形成手術を行う場合もありますが、必ず流産を引き起こすわけではなく手術をしなくても約60%は妊娠継続が可能です。
抗リン脂質抗体症候群、プロテインS欠乏症、第Ⅻ因子欠乏症などで血栓ができやすくなり、不育症の原因となります。
医師の指示のもと薬物療法を行い治療していきます。
ストレス
クラミジアやウイルスなどの感染が流産の原因となることがあります。
治療には抗生物質を使用することが一般的です。
感染症
不育症を乗り越えるためには心のサポートが必要不可欠です。
パートナーや家族と協力しながら心のケアも行っていきましょう。
心理的なストレスを抱えている場合、体に様々な不調があらわれます。
強い緊張によって血管が収縮して血流が悪くなったり、ホルモン分泌や拒絶免疫系にも影響を及ぼす可能性があります。
特に不育症の患者さんは赤ちゃんを失った悲しみから精神的に追い詰められてしまう人が少なくありません。
流産による不安や悲しみが次の妊娠に影響を与える悪循環に陥ってしまう場合があります。