しかし胎盤にもタイムリミットがあります。
胎盤の機能は一定期間を過ぎると低下していき、胎児へ酸素や栄養が十分に供給できなくなります。
この状態を胎盤機能不全症候群といいます。
分娩予定日から2週間以上遅れて生まれた赤ちゃん(過期産児)の多くは胎盤機能不全症候群の症状があらわれます。
日本では過期産の頻度は全分娩の2%ほどと言われています。
お腹の中の赤ちゃんは胎盤を通じてママから酸素や栄養をもらっています。
過熟児は何が問題なの?過熟児の症状
「過熟児」とは「胎盤機能不全症候群」の症状があらわれた新生児のことをいいます。
別の意味では、分娩予定日から2週間以上遅れて生まれた赤ちゃん、つまり過期産児(かきさんじ)や、週数に関わらず出生体重が異常に重い赤ちゃん(巨大児)を指すこともあります。
過熟児とは?
過熟児の原因は妊娠高血圧症候群や糖尿病、腎炎などの各種合併妊娠、過期産、胎盤形成不全などによる胎盤機能の低下で起こると言われています。
過熟児の原因
また、 皮膚が乾燥してひび割れたりしわが多いなどの特徴もみられます。
胎便による羊水混濁、胎盤・臍帯の緑色の着色、さらに臍帯・皮膚・爪の黄染などもあらわれます。
これらの所見を過熱徴候といいます。
お母さんの糖尿病が原因で巨大児、非対称性巨大児になった場合は、赤ちゃんに呼吸障害や心不全、低血糖、低カルシウム血症、多血症などさまざまな病気があらわれる可能性があります。
胎盤機能不全症候群がみられる場合、赤ちゃんは痩せる傾向にあります。
酸素が足りなくなると胎児仮死を起こしたり、まれに突然胎児死亡を起こすこともあります。
妊娠中に血糖値が上がったり、血糖値が高い状態が初めて発見された場合に診断されます。
妊娠中には胎盤内で血糖値を上げやすいホルモンが産出されています。
妊娠糖尿病
妊娠20週以降から分娩12週までに高血圧がみられる、または蛋白尿が出ている場合に診断されます。
妊娠高血圧症候群
過熟児の予防法・治療
まとめ
また、最新の医療技術によって42週を超える前に誘発分娩を行うことで過熟児を予防できるようにもなりました。
過熟児として生まれた赤ちゃんに臨床症状が認められる場合は、保育器内で輸血や酸素投与等の治療が行われます。
低血糖や脱水、呼吸障害などの有無に応じて処置がされます。
妊娠中に妊娠高血圧症候群や糖尿病、腎炎などの各種合併妊娠にならないように気をつけましょう。
妊娠高血圧症候群の治療は、まずは体を休めて安静にし、食事療法やヒドララジンやメチルドパなどの降圧剤を使用した薬物療法で母体の循環と子宮胎盤の循環を改善します。
食事療法は塩分制限やカロリー制限、糖質制限、高ビタミン食などがすすめられます。
適度に体を動かして、体重が急激に増えないようにするのも大切です。妊娠前からすでに糖尿病を患っている方は、担当医師としっかり相談して妊娠期間を過ごしましょう。
最新の医療技術によって過熟児として生まれた場合の予後はよくなっています。
また、妊娠高血圧症候群や糖尿病をわずらっていても必ず過熟児になるわけではありません。
ただ、過期産は早産ほど深刻に扱われませんが、やはり同様に赤ちゃんやママにとってリスクが生まれます。
妊娠中の生活習慣・食事バランスには特に気をつけて、赤ちゃんをベストな状態で産んであげたいですね。