涙が流れていかないので常に涙目の状態になり、滞留した分泌物やゴミが目やにとして溜まります。
このまま放置していると、滞留した涙の中で細菌が繁殖して炎症を起こす場合もあります。
これは涙嚢炎と呼ばれる病気で、特に新生児に起こるものは新生児涙嚢炎と呼ばれています。
先天性鼻涙管閉塞の症状
大人でも鼻や眼の病気が原因で後天的に鼻涙管閉塞が起きることがありますが、鼻涙管の発達が十分でない赤ちゃんに先天的に多い病気です。
新生児の10%〜15%に発症すると言われており、そのうち90%は片目のみに生じます。
通常、目から出る分泌物や、小さなゴミ、ホコリなどは、まばたきによって涙と一緒に流され、目頭にある涙点から鼻涙管を通って鼻へと運ばれます。
鼻涙管閉塞は、この鼻涙管に何らかの原因で膜が残ってしまい詰まっている状態のことです。
先天性鼻涙管閉塞とは?
自然治癒を目指す
先天性鼻涙管閉塞の治療法
病院では、目の内側、鼻の付け根あたりを圧迫すると、目の中に涙が逆流するかどうかを見られます。
この診察で鼻涙管閉塞が疑われると、食塩水を流す涙管通水検査を行って鼻涙管が詰まっているかどうかを調べます。
簡単な検査なので、常に涙目だったり、目やにがひどかったりという症状に気づいたら、早めに眼科を受診しましょう。
先天性鼻涙管閉塞の検査方法
自然治癒が望めない場合や、初診時にすでに乳児期後半になっている場合には、鼻涙管開放術(プジー)という治療方法が行われます。
鼻涙管開放術とは、点眼麻酔を行い、涙点から「プジー」と呼ばれる細い針金を射し込んで、鼻涙管を開通させる方法です。
鼻涙管開放術(プジー)
ホームケアでは、お湯に浸した清潔なガーゼで目やにをこまめに拭き取ります。
こうしたケアを3ヶ月ほど続けても治らない場合は鼻涙管開放術などの治療方法に進みます。
先天性鼻涙管閉塞の赤ちゃんの約60%〜70%は生後3ヶ月までに、残りもほとんが1歳までに自然治癒するといわれています。
しかし数%の赤ちゃんは自然治癒しないので治療が必要になります。
初診時の赤ちゃんの月齢にもよりますが、まずは抗生物質入りの目薬を涙嚢マッサージなどで自然治癒を促す治療方法が選択されるようです。
鼻涙管開放術を行うタイミングとしては、1歳まで自然治癒を待っても良いという考えや、反対に1歳を過ぎると赤ちゃんが動いてしまい全身麻酔が必要になるので1歳よりも早めに行うという考えもあります。
治療方法や治療時期については主治医とよく相談して決めましょう。
このとき、目薬の容器の先が目やまつ毛に触れると不衛生になるので注意してください。
赤ちゃんが嫌がって暴れる場合は、床に寝かせて両膝で頭を左右から挟み、利き手と反対の手であごを押さえて固定すると点眼しやすくなりますよ。
目やにがでている場合は、清潔なガーゼなどで目頭から目尻に向かってやさしく拭き取ります。
目やにを放置をしておくと細菌が繁殖する元になるのできちんと取り除いてあげましょう。
病院から処方された目薬を忘れずに点眼します。
先天性鼻涙管閉塞のホームケアのコツ
赤ちゃんはよく泣くので判断が難しいですが、常に涙目になっていたり、目やにがひどい場合には一度眼科を受診しましょう。
先天的な鼻涙管閉塞は自然治癒で治る場合がほとんどですが、炎症を起こすこともあるので、症状が悪化しないように適切にケアをしてあげましょう。