2016.03.29 Tue 更新

妊娠高血圧腎症ってどんな症状なの?専門家が教える原因と対策予防法について

妊娠中に発症する場合がある、「妊娠高血圧症候群」の中でいくつかに分類されるものの一つとして、「妊娠高血圧腎症」があります。ここでは「妊娠高血圧腎症」とは何か、また、その原因と対策予防法について専門家の先生にお話を聞いて、まとめてご紹介致しますので、参考にしてみてくださいね。

また、母体が胎児を異物として捉えてしまうため、除去しようとして血管を壊そうとする物質が生成され、血管収縮を起こし血圧が上昇するとも考えられています。
また、遺伝についてもはっきりとはわかりません。しかし、母親が妊娠高血圧症候群の場合、子が発症する確率はそうでない人と比べると、5倍も高くなることが分かっているので発症のリスクはあると言えます。

妊娠高血圧腎症を含め、妊娠高血圧症候群の原因は、今のところはっきりとしたことはわかっていません。
受精卵が子宮内に着床して、母体と胎児をつなぐ胎盤が作られる際に血流をよりスムーズにするために、血管の壁が作り直されます。
この際に、血管の壁が上手くできないと血流が悪くなり、母体から赤ちゃんへ酸素や栄養分が十分行き渡らなくなります。
そのため母体から無理に赤ちゃんへ多くの酸素や栄養分を送ろうとして、血管に圧力がかかるため高血圧になってしまうと考えられています。

妊娠高血圧腎症の原因は?

妊娠中に起こりうる「妊娠高血圧症候群」の中でも、妊娠20週を超えてから高血圧となり、かつ尿蛋白も伴うもので、分娩後12週までには回復する場合を「妊娠高血圧腎症」と言い、妊娠高血圧症候群と呼ばれる病気の中の一つに分類されます。

妊娠高血圧腎症って?

症状の程度

・ひどい頭痛
・目の前がチカチカする
・動悸がする
・体重が急激に増える
・食べ過ぎたわけでもないのに、太った
・足や顔が腫れ上がるなどのひどいむくみ

妊娠高血圧腎症を含めた、妊娠高血圧症候群は妊婦検診で行なわれる血圧測定や、尿検査などで出た数値を見て医師が診断を行いますが、自分でもある程度分かる症状があります。

自覚症状は?

・高齢もしくは若齢の方
→いわゆる高齢出産になる35歳以上、更に40歳を超える 妊婦さんはかかる可能性がぐっと高まります。逆に若すぎる15歳以下での妊娠も要注意です。
・出産経験がない方
→経産婦さんよりも初産の妊婦さんの方が体が妊娠に慣れておらず、また経産婦さんでも上の子の出産から5年以上経っての妊娠の場合かかる可能性が高まります。
・肥満ぎみの方
→妊娠前から少し太りぎみで、体重が55キロ以上の妊婦さんの場合
・妊娠前から高血圧症状のある方
・双子以上の多胎妊娠の方
・尿や歯の感染症にかかっている方

妊娠高血圧腎症を含めた、妊娠高血圧症候群は妊婦さんなら誰でもかかる可能性はありますが、中でもなりやすい人がいます。
以下の方はより注意が必要です。

なりやすい人

血圧の値と尿に含まれる蛋白の量により、症状の程度が決まります。
軽度の基準としては、血圧が収縮期血圧(上)が140mmHg以上で16mmHg0未満、拡張期血圧(下)が90mmHg以上で110mmHg未満、尿蛋白が+の場合。
重症の基準としては、軽症の基準となってる各数値の上限を超えた場合、複数回検査していずれも尿蛋白が連続して3+の場合になります。

治療や予防対策は?

早期に発見し、適切な処置を行うことが重要です。安静にすることで母体の循環と子宮胎盤の循環が改善されます。
食事療法としては、従来は塩分制限、カロリー制限、高蛋白食がすすめられていましたが、現在では1日7〜8g程度の食塩摂取、カロリーや蛋白質はBMIに応じた基準値が設定されています。動物性脂肪と糖質を制限し、高ビタミン食がすすめられています。
薬物療法としては、高血圧に対してはヒドララジンやメチルドパなどの降圧薬が用いられますが、必ずしも病態の改善にはつながりません。
利尿薬は循環血液量の低下をまねくため胎児への悪影響が考えられ、原則として使用されません。子癇の発生予防に硫酸マグネシウムが有効であることが報告されています。
胎児の発育不全や健康状態の悪化をまねきやすいので、定期的に発育と健康状態のチェックが必要です。
妊娠高血圧症候群の根本的治療は妊娠の終了です。母体または胎児に重篤な症状が現れた場合には、すみやかに妊娠を終了させることが母体の生命保護のために重要です。

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